企業で働いていると、また私のような立ち上げ仕事ばかりや
ってきた人間には、株式会社という機能をよく理解でき
ていませんでした。
改めて株式会社というものを学ぶと、株式会社を動かすため
には四つの機能があるようです。はじめに決定機能が必要と
なります。
先ず、株式会社には「法人格」が与えられていますが、この
機能は人為的につくり出された「仕組み」にすぎません。
株式会社自体が物事を決めたり、商談をするために営業を行
ったりするわけではありません。
現実には、人間の誰かが、株式会社を動かす必要があります。
会社を動かすためには、最初に「何をなすべきか」を決めな
ければなりません。
会社がやりたい事業の基本的な部分は会社の「定款」の「目
的」という条項に決められています。
たとえば、家電メーカーの目的の欄には「各種電気機械器具
の製造並びに販売」などと記載されています。
もっとも、具体的にどのような電気製品を開発して、どのよ
うな工場で製造するのか、どのエリアで、どのような価格設
定で販売するのかというような具体的なことは何も決められ
ていませんので、企業は動きません。
そのため次に、「新製品開発」、「新工場建設」、「工場用
地買収」、「営業戦略の立案」といった、実際におこなうこ
とを具体的に決める作業が必要になってきます。
この働きを「決定機能」といいます。それを担う人や会議体
を「決定機関」といいます。
「機関」とは会社の運営に携わるものとして会社法で規定さ
れた人や会議体のことをいいます。
株式会社のオーナーは株主ですから、会社に関する一切の事
柄は株主の会議体である「株主総会」が決めるのが筋なので
すが、株主数が多くなり、株式譲渡が認められると株主も流
動的になるため、決定機能を「取締役会」に移すことになっ
ています。
企業活動において権力が取締役に集中するようになっていま
から、その分取締役の役割は非常に重要になってくるのです
が、取締役会の改革だけは叫ばれていますが、まだ十分
に機能しているとは言い難いでしょう。
これでもかと続く不祥事が、わが国の取締役や取締役会の本
質を如実に表わしているのかもわかりません。