昨日、決定機関について書きましたが、たとえば「工場用地
買収」を決定したとしても、法人の「会社」が用地買収を勝
手におこなうわけではありません。会社の誰かが資金を調達
し、候補地を探し、地主と売買交渉を行い、土地などの売買
契約を締結し、契約書に記名押印する必要がでてきます。
機関決定された事案を実行に移すとき、その働きを「執行機
能」といいます。その担当をする人を「執行機関」といいま
す。
「執行」とは商品やサービスなどの企画立案、開発から、そ
の原料調達、製造、販売、組織の管理、運営まで、会社が行
う事業活動の全般のことになります。
「執行機関」が迅速かつ円滑に執行を進めるためには、広い
範囲で強い権限を持つことが前提となります。
「取締役会設置会社」の経営トップは「代表取締役」または
「代表執行役」です。
両者が持つ「代表権」について会社法は「株式会社の業務に
関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する」
と表現しています。 (3 4 9条 4項、 4 2 0条 3項 )
代表権が強力な法的権限であることが明示されています。
実務上、会社の活動の大半が「執行」の働きです。
広範な執行をこなすために、代表取締役を筆頭に、取締役の中
から執行を担当する者が選ばれ「業務執行取締役」が、代表執
行役のもとに「執行役」として、社長、副社長、専務、常務な
どの肩書(呼称)で、組織として構成された企業において、従
業員を整然と統率し、ビジネスを推進していくことになります。
取締役が「執行」に集中していることで、問題が発生すること
があります。
わが国のような取締役の内部昇格では、業務を遂行する能力が
注目され、取締役としての監督権を放棄(無理解や無視)して
きたのが特徴だったのではないでしょうか。
取締役会の改革が叫ばれ、少しは改革が進んでいるように
みえますが、実態はどうなのでしょう。
取締役会の改革に挑戦している企業も多くなっています。また、
今後も増加すると思われますが、監督と執行の分離ができ
るのは大手企業に限定されるのかもわかりません。
中堅企業等では、経営的な余裕がない、あるいは人材自体が不
足していることなどが考えられます。
どのような改革にしても代表執行役の監督を誰がおこなうか、
ということがもっとも重要な課題です。