ユニオンとの団体交渉に社長が出席する必要はありませ
んが、会社側で誰が出席するかを決める必要があります。
ー般的には団体交渉に社長が出席すると、ユニオンから即決
を求められることになる場合があり、デメリットであるとさ
れています。
一方、退職に向けた話し合いのための団体交渉は、社長ある
いは取締役クラスが出席したほうが交渉がスムーズに進むこ
とが多いようです。
社長、あるいは取締役クラスが出席することで、対象社員に
対して退職を求める意思が強いということをユニオンや対象
社員に意思表示することができます。
また、会社側が団体交渉に弁護士を同席させるケースは、従
来からもありましたが、最近はかなり増えているようです。
団体交渉の出席者を決めたら、会社側出席者の間で、団体交
渉における方針について意思統一するなど、団体交渉の前の
準備を行うことが必要です。
退職に向けた話し合いの団体交渉では、はやい段階で、対象
社員に退職を求める理由を整理して書面で準備しておくこと
が求められます。
退職勧奨の対象社員がユニオンに加入している間は、退職を
説得する方向でユニオンと話をおこない、退職に関するユニ
オンの同意を得ることで、合意退職することになります。
ユニオンは団体交渉の前の段階では、対象社員側からしか話
を聞いていないので、ユニオンを説得するためには、会社側
からできるだけ詳しい資料を提示することになります。
たとえば、能力不足等を理由とする退職勧奨の場合、対象社
員の人事評価の資料や会社が過去おこなった本人への指導等
の内容、指導後の対象社員の勤務状況や業務内容の改善等も
可能な限り開示することで、会社として当該社員への評価を
説明しながら、ユニオンを説得していくことになります。
また、残業代の支給に問題がある場合は、退職に向けた話し
合いの中で、未払いの時間外労働手当の精算を指摘されるこ
もあります。このときは、会社は、当該社員のタイムカード
の資料をユニオン側に提示して、もし支給すべき時間外労働
手当があれば精算することを前提に交渉をおこなうことにな
ります。
企業ごとに様々な個別の問題があるのかもわかりませんから、
少なくともユニオンとの交渉前までに、自社における問題点
や論点を整理して、ユニオンとの交渉に臨むことになるでし
ょう。