中小企業経営者は、労働組合、ユニオンなどを嫌悪する発言
が少なくありません。
私が労務担当をした場合、経営者にはそのような発言は差し
控えていただきます。
団体交渉において企業側が不利な状況におかれるからです。
このような理由が、理解できない経営者とは袂を分かつこと
になります。
団体交渉を有利に進めることができなくなり、労務担当とし
て仕事はできないからです。
特に、従業員と退職に向けた話し合いの交渉では、退職の合
意ができず、従業員がユニオンに加入してユニオンとの話し
合いで退職の合意を目指さなければならないケースでは、こ
のような経営者などによる労働組合などに対する嫌悪の発言
は、団体交渉を複雑化し、まず経営者の姿勢が問われること
になります。
また、ユニオンとの間で話し合いが決裂してしまった後に、
退職勧奨の対象となっていた従業員を解雇することを検討せ
ざるを得ない場面がでてきたりします。この場合、会社側は
解雇した従業員から、不当解雇だとして裁判を起こされる可
能性があり、このことも念頭におかなければならくなります。
このようなケースでは、経営者などが、解雇前の団体交渉を
おこなっている最中や会社内で他の社員などに対してユニオ
ンを嫌悪する発言を繰り返していたという事実があると、解
雇された従業員は裁判の中で、必ず会社側はユニオンに加入
したことで解雇した、あるいは、会社側は団体交渉を申し入
れたことを嫌って解雇した、と主張してくるでしょう。
会社としては、能力や業務態度に問題があり、正当な理由で
解雇したケースであっても、経営者などがユニオンを嫌悪す
る発言を繰り返していれば、裁判で指摘されることで、会社
は、従業委員がユニオンに入ったことを嫌って解雇した、と
いう従業員の理屈が正当化されてくるのです。
ユニオンに加入したことや団体交渉を申し入れたことを理由
に解雇した、と判断されれば、「違法な解雇」とされ、会社
は多額の金銭支払を命じられることになります。
労働組合法で、組合に加入したことや団体交渉を申し入れた
ことを理由とする解雇は違法とされているためです。
経営者などが、ユニオンに対して嫌悪感をあらわにする態度
をとることは、訴訟の場面を考えれば、会社を不利に追い込
む行為となります。
負ける団体交渉や訴訟を担当したい人間は、私を含めていな
いでしょう。
弁護士に相談すれば、経営者などのこのような対応が、いか
に愚かな行為か、すぐに指摘を受けて自らの行動や変えてい
かざるを得ないことを知ることになります。
ある企業では、私の退職後、このことを知った経営者がいま
したが。。。