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労働組合

団体交渉中の従業員の処遇は慎重にしましょう

団体交渉中でも全社的に人事異動や昇給など、従業員の処遇
を変更することがあります。
企業では、とくに毎年4月に給与改定や昇進、昇格などがお
こなわれることが多いものです。

ユニオンとの団体交渉で退職に向けた話し合いおこなってい
る場合、当然、4月からの新事業年度にあたり人事異動や処
遇の変更がかさなったりすることがあります。
当然、団体交渉中に従業員の配置転換や処遇の変更を検討す
ることになります。
この場合、会社が団体交渉中の従業員にとって不利な配置転
換や給与、処遇の変更をおこなうと、配置転換や処遇の変更
が、当該従業員がユニオンに加入したことを理由として行わ
れたものであると、ユニオンが主張してくる可能性がありま
す。

従業員がユニオンに加入したことや会社側に団体交渉を申し
入れたことを理由として、従業員に不利益な取扱いをするこ
とは、不当労働行為に当たります。
そのため、会社側がユニオンへの加入や団体交渉を理由に従
業員にとって不利な配置転換や給与、処遇の変更を行った、
と裁判所に判断されてしまうと、損害賠償などの対象となり
ます。

団体交渉中の配置転換や給与、処遇の変更を行う場合、ユニ
オンに対して、これらの人事異動や処遇の変更をおこなう理
由を事前に説明しておき、従業員がユニオンに加入したこと
や団体交渉を申し入れたことを理由として、人事異動や処遇
の変更をするものではないことを明確に説明しておくことが
求めらます。

私が経験したところでは、退職に向けた話し合いのなかで、
組合員である従業員の人事異動はおこないませんでした。
退職の話し合いの途中でおこなう人事異動には相当な理由が
必要になるからです。
ただし、退職と関係がない通常勤務をしているような場合、
他の社員と同様に人事考課に基づく配置転換をおこなったこ
とはあります。
この場合、企業における経営権に基づく判断ですから、組合
との話し合いはしませんでしたが、人事考課の資料を要求さ
れましたので、その資料を組合側に確認してもらったことが
ありました。

あくまで組合との合意ができれば、どのような状況において
も異動や処遇の変更は可能ですが、退職に向けた話し合いを
おこなっているような場合は、とくに事前に組合と十分な話
し合いをもっておくことが重要です。

いずれにしても中小企業の場合、労働組合に関する基本的な
知識が不足していますから、労働専門弁護士に助言を求める
ことがよい、と思います。

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