中小企業では、すべての意思決定を経営者がおこっているこ
ともありますが、中小企業でも社員数が50名を超えてくる
ようになると、企業における分業、いわゆる組織ができ、そ
れに付随する機能が構築されてきて、それぞれの機能を担う
責任者が意思決定してくるようになります。
具体的には、経理、総務、人事などの機能でしょうか。
一番はやく機能化が進むのは経理でしょう。
お金のやりとりは、事業が開始されると同時に発生するから
です。
だいたい、小さな企業でも経理だけは、担当者がいるもので
す。企業規模がさらに大きくなれば、総務や人事の機能が作
られてきます。
中小企業では、経営者(トップ)が意思決定をすることが当
たり前のように考えられていますが、事業規模が拡大してく
れば、組織の意思決定は、経営者だけでなく、各部門の責任
者、いわゆるスペシャリストがおこなっていきます。
企業が組織化するとは、いわば意思決定がそれぞれの機能ご
とにおこなわれるということです。
経営者だけが、意思決定をおこなっているわけではありませ
ん。各部門の責任者は、日々意思決定をおこなっています。
もちろん、それらの意思決定は、職務権限の範囲になります
が、近代の企業は組織機能を活用して、経営者により広範な
経営の選択と経営判断を求めるため、現場の意思決定は、現
場のスペシャリストがおこないます。
意思決定するという能力は、組織を統括する管理職には必須
の能力ということになります。
このために実務を通して、税務や労働基準法、あるいは会社
法などの専門分野の知識を習得し、管理職自らが専門分野に
限定されますが、企業の意思決定をおこない経営に参加する
とともに企業活動を支えています。
中小企業の経営者は、このような視点から経営を学んでおく
ことで、事業が拡大したとき専門知識を基盤とする組織構造
が必要であり、各組織機能をどのように引き出していくかと
いうことを具体的にイメージしながら事業の拡大を進めてい
かなくてははなりません。
事業の成長とは、経営者がもっている意思決定機能をいかに
専門的な知識を有する人間にわけていくかという作業の連続
でしょうか。