上場を目指す仕事の面白さは、雑然とした事業運営を整然
としていくことにあります。
社員、法律、システム、オペレーションと多くの要素を標
準化していきます。
いわゆる社会的ルールに適応させるための変換作業です。
プライベートカンパニーからパブリックカンパニーに
することです。
当然、上述したすべてのことで、数々の困難に直面します。
人の意識は、そう簡単にかわりません。
法律を守ることは、「言うは易く行うは難し」です。
システムは、概念を理解するだけでも容易ではありません。
オペレーションは、やったことがないわけですから、すぐ
にはできません。
私は、「上場の仕事は自分のポジションがなくなる作業」
と位置づけています。
理由は、標準化は誰でも運用可能な体制をつくることだか
らです。
仕事を移譲できない体制は、元来パブリックとはいわない
のです。
だからこそ、私にとって上場の仕事は、困難と標準化、ポ
ジションの移譲という三つ要素を克服するという、真の人
間性が問われる仕事だから面白かった、と思っています。