建設業やソフトウェアの開発事業をおこなう企業では、原価
管理(プロジェクト管理)をおこなっています。
建設業では、建設業会計に基づいて会計処理をおこないます。
少し特殊な勘定科目を使いますが、他の業種ととくに変わっ
たものではありません。
製造業などでは、仕掛品という勘定科目ですが、建設業会計
では、未成工事支出金という勘定科目を使用します。
重要なことは原価を管理することです。
理由は、当初予定していた売上や利益が予定通り、進捗して
いるかをみていくためです。
建設業では、工事物件が完成するまで長い期間がかかります。
製造業でも同様に、製品が完成するまでには、ある程度の日
数がかります。
そのため工事物件別や製造番号別に原価を管理しなければ、
途中における実態が把握できなくなります。
とくに工事物件やソフトウェア開発などは、長期間の作業工
程があり、完成してみたら大幅な赤字だったではすまされま
せん。
そのため、工事や開発の途中経過を企業は確実にチェックし
ていくことになります。
原価管理には、業務の効率化や資金繰りの安定などのメリッ
トがありますが、その目的は利益を確実に確保していくこで
す。原価管理のためにやるべきことは当初計画と実績比較だ
けです。
実は簡単です。
とくにコンピュータ会計になってからは、適切な仕訳をおこ
なえば、工事別、あるいはプロジェクト別の原価管理表は、
簡単に出力できます。
それでもこれまで原価管理を行ってこなかった会社では、む
ずかしく感じられるかもしれません。
経営者がまず原価管理を理解しておかなければなりません。
もっとも、抵抗が多いのは現場ですが、原価管理は現場の協
力なしではできませんから、現場の方たちにしっかりとその
目的を説明して導入を進めていきます。
現在では、コンピュータを活用した運用がほとんですから、
標準化したシステムの利用が可能です。
現場のスタッフは、とかく自分たちやよくやっているという
意識が強いものです。
ですが、利益を出さないがんばりは、企業というところでは
意味がありません。
企業というところは、経営者だけでなく、現場を含めた全社
員の協力のもとで、いかに利益をあげていくかが問われる機
能体です。
自らの賃金をあげていくためにも利益を確保しなければなり
ません。企業活動は、利益をあげるために、無駄を省き、現
場がおこなっている作業が適切かどうかを知る手掛かりは、
厳しいですが、数字しかないのです。
この事実を経営者を含む全社員と共有できる企業が生き残っ
ていきます。