原価管理は、かなり面倒な作業ですが、はじめるときは、労
務費とその他の費用に分けることで進めていきましょう。
やはり現場からみれば、今までやっていた仕事に、さらに別
な作業が増えると感じるものです。
工事の原価をリアルタイムに把握するうえで日報の情報は非
常に重要です。もちろん、現在では日報システム活用するこ
とで現場の負担を軽くすることが可能です。
日報の情報を会社で吸い上げることで工事の進捗だけでなく、
どれくらい原価がかかったのかを把握することができます。
特に私が在籍していたような土木や電気、設備工事業など、
多くの作業員を抱える業種では労務管理のために日報が必須
となります。
作業日報は法律でフォーマットが決まっているわけではあり
ませんから、企業のなかには労務費と簡単な作業内容程度を
日報に書いているところがあります。
しかし、最初はそうした日報をベースに原価管理を行うとし
ても、将来的には次のような項目も日報で集計するようにし
なければなりません。
経費としては、 交通費やガソリン代など があり、使用した
機械 では、ダンプトラツクや高所作業車の使用時間など で
す。さらに材料費 として鋼材やコンクリート代金などがある
でしょう。
はじめは、最低限の原価管理のために労務費を集計します。
日報などをまとめ、工事ごとに 1カ月間の就業状況を出面に
まとめられていますから、この出面を労務費の集計に活用
することができます。
たとえば、佐藤さんと田中さんは時間単価 2 ,5 0 0円、鈴木
さんは時間単価 2 ,0 0 0円と設定した場合、この時間単価を
計算方法は、給料・賞与・社会保険料 (会社負担分 )を年
間合計し、これを時間単価で割り戻して設定する方法が簡
単でしょう。
個人単位で時間単価を求めるのが難しい場合は、給料水準が
同じグループ単位で作業単価の平均額を算出し、これを作業
単価として設定することでスタートします。
このとき、作業単価により算出した工事原価 (労務費 )と
実際の給料に若干の差が出てくるのが普通です。
その場合、詳しくは書きませんが、この差額については各工
事に割り振ることもありますが、別途「調整工事費」などと
いう科目を設定して帳尻をあわせておくことがよいと思いま
す。
工事ごとの労務費を厳密に計算してもたいした意味はもちま
せんから、差異を必要以上に気にせずおおまかな工事別の労
務費を把握することが重要です。
このような労務費の集計ができるようになれば、少しづつ原
価管理の考え方が理解できるようになってきます。
このようなことができるようになれば、その後、材料費、労
務費、外注費、経費の 4つの原価に分けて管理をおこなって
いくようにしていきます。
先ずは、段階を踏みながら原価管理を実行していくことが大
切です。
現場から反発を買うようなやり方を避けながら、現場の理解
のうえに原価管理があるという姿勢で臨んでください。
それでも現場の不満はでるものですが。。。