設備投資
設備投資とは、企業が事業のために用いる設備に対して行う
投資のことです。投資の目的は、生産能力の拡大、老朽設備
の更新・補強、省エネ・省力化、合理化、情報化など様々な
ものがあります。
設備投資の対象には、建物や機械設備などの有形固定資産と
ソフトウェアや商標権、特許などの無形固定資産の大きく二
つに分類されます。
設備投資は、国内総生産(GDP)を構成する主要な要素のひ
とつですが、一般的に好景気であると設備投資が進み、不景
気になると投資を控える傾向が強まります。
個人の消費とともに景気のバロメーターともいわれます。
製造業における設備投資の動向
設備投資の動向をみると、今年度、日本では、消費者物価上
昇率や春闘賃上げ率、日経平均株価などが約30年ぶりの水準
に高まり、デフレ経済から脱却できる変化がみられるように
なってきました。
その重要な要素が、企業の設備投資意欲の強さでしょうか。
詳しくは資料をみてください。
問題は、実態の数字です。
資料にもあるように、設備投資を実質値でみると、2022年は
前年比+1.9%、2023年は同+2.1%と限定的な伸びにとどまっ
ており、名目値と実質値の差は設備投資デフレーターです。
はやい話、設備投資額自体は増加しているものの、それがコ
ストの上昇に追い付いておらず、実際に投じた金額ほど既存
設備の更新や新規設備の導入が進んでいないということにな
ります。企業の支出額ほど、数量ベースでは設備投資が進捗
していないということです。
やはり物価上昇は、いろいろなところに影響していますが、
それでも中小企業に限ってみれば、推移をみると、「合理
化・省力化」、「情報化投資」が増加を続けており、人口減少
からくる人材難に立ち向かう姿がみてとれます。
資料:商工中金
人に対する投資
それでも稼ぐ経営のためには、独自性ある製品やサービスを
生み出すための人材に対する投資は欠かせません。
人を機械に置き換えても、競争力がなければ、他社も同様な
設備投資をおこないますから、稼ぐ経営はむずかしいでしょ
う。
設備投資だけで経営成果が変わるわけではありません。この
ような時代だからこそ、人と経営管理の仕組みに注力する必
要があると、私は考えています。
その本質は人にしか、独自性ある製品やサービスの開発はで
きないからです。