今春闘の結果は、1990年以来の高い伸び率で賃上げがおこ
なわれましたが、これで現行の物価上昇を乗り越えられる
のでしょうか。
楽観的な私でも、むずかしいように感じています。
資料:三菱総合研究所
理由は、過去20年間における主要国のの経済成長比較を
みれば、一目瞭然です。
あきらかに個人消費が停滞しています。
グラフを見る限り個人消費が低迷した原因の本質は賃金で
しょう。
資料:内閣府
現在、賃金は上昇していますが、円安を背景に物価はさら
に上昇していくことが予想されます。
物価上昇分を超える、いわゆる実質賃金が名目賃金を超え
るのはかなりむずかしい状況にあると思われます。
独占供給状態のエネルギー関連の価格は、確実に上昇しま
す。
円安は、一時160円を超え、認めてはいませんが政府の介入
で一旦下がっているようですが、米国の景気によっては、ま
だ円安を呼び込む状況が存在しています。
昨日メディアが、東京は世界40の観光地で4番目に“安い都
市”になっていると、報じています。
この記事では、1位はベトナムのホイアン、2位は南アフリ
カのケープタウン、3位のケニアのモンバサに次いで、 4位
が東京でした。
金利を上げられない日本と金利を上げざるを得ない米国と
の力比べですが、今の日本経済に立ち向かえる余力はなさ
そうです。
私は、このような危機的状況によって、個別企業が最悪な
状況におかれるまで、日本企業が変わることはないと思っ
ています。
ただし、個別企業において背に腹は代えられぬ状態になっ
とき、大化けする企業がでてくるのではないか、とも感じ
ています。
そのような企業が一社出現すれば、日本企業全体が変わる
機会が訪れるのではないでしょうか。
すでにそのような状況に追い込まれている企業があります。
社員は安閑としていますが、いずれ社員のなかからアイデ
アが生まれてくる予兆はあります。
大手企業であっても、経営者のなかには、今日の状況に危
機感をもつ人がいます。
さて、社員にどのようにして、危機感に火をつけられるか
が、勝負の分かれ目となるのでしょう。
残念ですが、国内中心の企業では、円安による観光関連の
一部の企業を除いて、それぞれの企業が昭和からこれまで
やってきた(構築してきた)ビジネスモデルは、すでに崩
壊しているのです。この先、国内を売上の核としてきた企
業ほど、強烈な現実に直面することになりそうです。
その兆しはじわじわと日常生活のなかに入りこみ、企業間
の死闘のはじまりをみているようにも思えます。
経営者、社員ともに覚悟がいる時代です。