厚生労働省が9日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従
業員5人以上の事業所)によると、1人当たりの賃金は物価変
動を考慮した実質で前年同月比2.5%減だった、と報道されま
した。
減少は24カ月連続で過去最長であり、給与総額は伸びている
が、物価高に追いつかない状態が続いている、となっていま
す。
実質賃金の減少幅は2月のマイナス1.8%から拡大しおり、4カ
月連続のマイナスはリーマン・ショック前後を超えて、比較
可能な1991年以降の記録で過去最長を更新しています。
さらに5月下旬公表予定の23年度の実質賃金も2年連続で前年
度比マイナスとなる公算が大きいとされています。
大手企業や中小企業では、春闘において賃上げのデータをみ
る限り間違いないところでしょう。
ところが、息子に聞いてみると、問題は賞与です。賞与は、
かなり厳しい内容だということがわかりました。
春闘では、軒並み賃上げをしているようにみせている一方で、
大手企業では、総額人件費を押さえ込んでいるようです。
また、管理職の賃金水準は厳しいものがあります。
なかには、早期退職によって人員削減している企業がありま
すから、社会全体で賃上げ効果を把握するには、物価上昇や
定額減税を含めて、今後の状況を見守る必要があります。
わが家のような貧乏所帯では、当然のように食費の削減や不
要なサービスをカットしてきました。
もっとも、このような対策は、わが家に限らないでしょう。
スーパーの売り場をのぞけば、メーカーの在庫を吐き出すよ
に価格が下がりはじめています。
このような状態は、当然、賞与へ影響していくことになるの
かもわかりません。
もっとも問題なのは、公共性が強い光熱費やガソリンなど燃
料代は、政府補助がなくなり、この先確実に値上がりします。
家計防衛が進むのも必然ではないでしょうか。
賃金の状況は、春闘の賃上げ率ばかりみても問題の本質はわ
かりません。
大局的に賃金の推移をみておくことが必要でしょう。
このような賃金実情のなかで物価が上昇していきますから、
生活者が生活防衛するのは目にみえています。
今般のインフレはコストプシュ型のインフレですから、
原材料の値上げなどから物価が上昇していきますが、賃金の
上昇との根競べになり、現状のように実質賃金が増加しない
と、どかの時点で消費者の買い控えが起こります。
私は、すでに買い控えがはじまっており、光熱費などの価格
上昇で家庭はさらに厳しい環境におかれてくるでしょう。
このグラフをみると、一般企業が価格転嫁できる転換点を過
ぎており、今後、企業は光熱費などを簡単に商品に転嫁でき
ないのではないかと推測しています。仮に転嫁すると大幅な
売上の減少を引き起こし、企業経営は厳しい局面を迎える可
能性がでてくるのではないでしょうか。
前にも書きましたが、国内販売中心の大手企業や中小企業は
、この点をみておかないと、気づいたときにはすでに遅しと
いうことになりかねません。
企業は消耗戦のなかにあり、どの企業が婆を引くかの闘いに
なっていると、私は考えています。
そのためには、付加価値が高い商品やサービスを開発し、世
界で挑戦しなければなりません。
今の時代、小回りが利くベンチャー企業や中小企業ほどチャ
ンスがあるのです。人材は、今、自動的に大手企業からでて
きます。それもトヨタではありませんが、65歳定年制で間
もなく止まるでしょう。
すぐに行動に移せるのが中小企業やベンチャー企業の特徴で
しょうか。チャンスは、中小企業やベンチャー企業ほどある
ように、私は感じています。