ベンチャー企業に限らないが、そもそも企業というところは、
やりたい仕事をする前に、たくさんのやりたくない仕事があ
ふれていた。
自分で決断して転職したので我慢手当まで給与に期待してい
ないが、我慢手当がないと生活できないのかどうかは、はじ
めに見極めておくことが必要だ。
さもないと、ショックが大きく愕然として人生を棒に振るだ
ろう。
近頃では、高学歴をもったものが投資とやらで、とんでもな
いビジネスをやっている。
高学歴者のベンチャーには注意が必要だ。
私などは元来学業の成績がよくなかったので”必要条件”と”十
分条件”なる意味をあまり理解できていない。
早速、調べてみると次のような表現に出会った。わかりやす
いので自分の勉強を兼ねて書いてみる。
「必要条件」と「十分条件」については、「自動車を走らせ
るには ガソリンを入れておく必要がある」のだから、「ガソ
リンを入れておくこと」は「自動車を走らせること」の必要
条件だ。しかし、ガソリンを入れただけでは自動車は走らな
い。
ほかにも「ドライバーが免許証を持っている」といった必要
条件もある。こうした必要条件 をいくつか集めると自動車を
走らせるのに十分な条件になる。必要条件が一定数集まると
十分条件になるということだ。
恥ずかしい話だが、この歳になってはじめて理解できたよう
な気がする。
少し勉強したところで本題に入ろう。
ソニー時代、厳しい表現だが「金を言う奴は採用するな」と
指導を受けた。理由は、金を言う人間は、また金で辞めるか
らだ、と言われ、なるほどと妙に感心した記憶がある。
それでも人材枯渇のため、この格言を破って採用したら見事
に的中してしまった。
それ以来、どの企業へ転職しても採用を担当するときに大事
していることのひとつだ。
自分自身に当てはめてみるとよく理解できる。転職の動機は、
まさに「金」以外だった。
考えてみれば、転職をしたが”お金”の交渉は、一度もしたこ
とがない。提示された金額でいつもスタートしていたし、仕
事の結果をみてもらえば相応の昇給は可能だろう、と常々思
っている。現実は、金額は別として、そのような結果になっ
た。
もっともお金より”仕事自体”にはまっていた、と思う。とに
かくどこの企業へいっても、常に仕事は新鮮だったし、わく
わく感がもてた。今は、現役を引退したが、それでも毎日”
わくわく”感がある。
人生には、”お金”だけでないなにかがある。その意味でも会
社で仕事することを再考してみてもいいだろう。
また、ベンチャー企業以外でも中途採用を繰り返している
ような企業は、管理体制ができていないものだ。
転職した場合の仕事は「やりたい仕事」の前に「やりたく
ない仕事」が山のようにある。
しかしそのような「やりたくない仕事」もやってみると、
仕事の基本や仕事の本質を知ることができ、とても大きなご
褒美をもらえるものだ。
また、人が嫌がる仕事ほど成長できる。
理由は、嫌がられるだけ、その仕事はオリジナリティーが
高いと言える。ゲームで言えば、達成難易度が高いものに
なる。むずかしいが成し遂げた達成感も充実感もはかりし
れないくらい大きくなる。
だからだろうか、ついつい、また、はまってしまう。
中小企業やベンチャー企業は、社員が”はまれる”企業にす
ることが一番だ。
だが、一番むずかしいことでもある。