私が見てきた創業経営者の約75%は、週100時間以上働いて
いた。
私は、毎週100時間の仕事をしたとは言えないが、ある時期
徹底的に仕事をしてみることは重要だ、と思っている。
但し、我々のようなごく普通の人間は、仕事を徹底的にやっ
てみようと思える仕事に偶然でもよいから巡り合えるという
機会が必要だ。この意味では他力本願であるが、そのような
機会だと思った瞬間があれば徹底的にやり抜いてみることだ。
もっとも、ゴールドマン・サックスでは、週98時間労働や5
時間の睡眠で家族や友人との関係もうまくいかなくなると、
ある記事を読んだ。このような過酷な労働条件でもゴールド
マン・サックスにはインターン希望の学生が殺到するそうだ。
米国の有名企業では、経営者ではなく社員が週100時間が当
たり前なのだろう。
社員が、そこまでやることはないが、一度でも仕事にはまる
と、自分が主体的にやった仕事と、いやいやながらやった仕
事の違いは明白になるだろう。その違いに気が付くことが、
最初の第一歩だ。
経営者が仕事にはまる感覚が少しわかるようになる。
欲を言えば、経営者は、ベンチャー経営者に限らず社員のす
べてについて“仕事にはまる”感覚をもたせることができれば、
その企業は成功したも同然だ。
経営者による細かな指示命令による仕事ではなく、社員個人
の主体性に基づく仕事になるわけであるから、仕事の成果は
自ずと違ってくるし、社員の主体性に基づく仕事のほうが、
より大きな成果を出すことが可能だろう。
経営者が、このようなマネジメントを心から楽しめるかどうか
だ。もっとも、それには度胸がいる。
成果主義の台頭は、このような人間を中心としたマネジメント
の対局にあるわけであり、根本的な経営姿勢の違いによって成
り立っている。なかなか難しいテーマだが、経営者による経営
能力の違いがでるものだ。また、このような経営者の経営姿勢
の違いによって、企業業績の違いが大きくなる。
現在のような混沌とした社会情勢が続く限り、経営者の経営能
力は、さらにきつく問われてくる。それは、別な意味では、経
営者の能力格差が広がる時代であり、経営者が峻別される厳し
い時代だが、経営能力を磨けるチャンスがある時代が到来して
いると言える。