企業だけではないが進化するには、多数とは離れたところの
ほうが有利であり、 次の時代の真実は、中心ではなく周縁に
あるといわれている。
企業では、社員数30名を超えてくると、無難志向に陥りや
すく、工夫が必要 になり、10名未満のチームでの収益管理、
5人以下の会議や意志決定、少数意見の尊重など進化のため
に変化し続けることができるような仕組みをもつことが必要
だと、ある本に書いてあった。
社員数が多くなると必然的になんらかの経験をもって入社し
てくる人間が中心となって事業活動が行われる。新しく入社
した人間は、どうしてもこれまでの組織の思考パターンや行
動パターンを、新しく入った企業内でもおこなうとする。
ある意味致し方ないところだが、このようなメンバーに言っ
て聞かせても、なかなか新しい行動はできないものだ。
経営者は、企業の拡大において先ずコアメンバー型組織運営
をおこなうのか、段々と経営管理を含めた組織体制構築型運
営をおこなうかという判断をしておく必要がある。
このような判断がなされていないで新たな社員をいれていく
だけでは組織機能は出来上がってこない。
どのような組織運営で拡大期を乗り越えるかという基本戦略
が必要だ。往々にして人さえ取れば、あとは経営者のマネジ
メント能力によって拡大できるという判断だけで、社員を増
員しているケースが目立つ。
会社スタート時におけるコアメンバーのような立場で仕事が
できる人間は、極めて少数だ、という認識がいる。この点に
おいて対応を誤ってしまうと、その後、組織運営の統一がと
れなくなる。
コア型で成長させる場合、経営者を含めてかなり特殊なタイ
プを採用することになり、採用活動における人材選別はむず
かしくなる。しかも簡単に見つけることができないので相当
長期的な対応が求められる。その上、組織のメンバー比率は
コアメンバーの裁量が揮える比率を維持しながら確実に人材
育成をおこないながら事業を拡大させることになる。
一方、組織構築型の人材の場合は、コアメンバーへ権限移譲
したうえで経営管理という普遍的はマネジメントスタイルを
導入していくことに伴い、コアメンバーの意識転換が必要に
なる。これに失敗すると新しく採用された人材の流失が止ま
らなくまる。
このように拡大期は、経営者の意識改革が求められ、経営戦
略において大転換が必要だ。このことを深く認識している経
営者はやはり非常に少ない。
人間誰しも今までの延長線上に成長があると思ってしまう。
ベンチャー経営者でも同じである。あるいは、ベンチャー流
の無難思考に陥いる。
本に書いてあったように「進化のために変化し続けることが
できるような仕組みを内包すること」は、言うことはたやす
いのだが、実際の組織機能として稼働させていく場合、非常
にむずかしい。
理由は、そのようなことができるのは、そのことを本当に理
解できている人間が必要になるからだ。しかもそのようなこ
とができるための実戦をおこなった人間はそうそういない。
ベンチャー企業では、経営者自らがそのような組織機能と人
材育成をおこなっていくほかない。
このことは、多くの課題をもっているのだが、ベンチャー経
営者は、ほとんど収益にしか関心をしめさない。
むしろ人材育成や組織機能構築は、大手企業と比較してベン
チャー企業のほうが遥かに沢山の課題と実行すべき事柄があ
るといったほうが正しい。