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中小企業

創業期は理不尽さと闘う作業の連続だった

人間は思いつきで言葉を発し、行動するのが常態だと、しば
しば言われている。
経済学が役に立たず、ビジネスモデルが考えたように機能し
ないのは、合理的な人間像だけを前提としているからともい
われる。ベンチャー企業や私のように創業間もない立上げ期
に転職した人は、その理不尽さにとまどうことになるだろう。

このような理不尽な状況をいかにハンドリングしていくかが
が求められ、心理的にも追い込まれたが、自分の腕の見せ所
でもある。私はやりたいことができるという一念が自らを支
えてくれた。

理不尽さの筆頭は、あら捜しやその糾弾に終始するという人
間がもっている宿痾との闘いだ。いわば人間がもつ幼さのよ
うなものだろう。
創業期は、企業内に組織的として機能しない部分が多数発生
しており、マネジメントに問題があるのではなく、組織機能
をつくることが必要だが、先ず人が足りないため組織は混沌
した状態にあった。

理不尽な現場から利益を生み出すための機能をつくることは、
なにも無いところから人にみえる機能をつくるという直観力
が求めらる。この時点において理論など無意味だ。
上司や先輩は、熱中しやすいタイプだったこらこそ発想が豊
で、ひらめき力をもっていた。
立上げ期の体制作りは、ある意味熱狂の持続によってのみ獲
得されるのかもわからない。そしていつも現場の理不尽に密
着し、熱意と行動で機能を作り上げた。
人が行動して物事を作っていくすごさの連続のなかにいた自
分に、いまさらながら驚いている。

理不尽さは、生まれついたときからあるものだと思う。理不
尽さがわかりだすのは小学生へはいってからだろうか。なに
か納得できないものがある、と感じる気持ちが、今でも心の
中に残っている。

ビジネスの世界における理不尽さは、人間がおこなうことで
あるということと、もうひとつは、人間は、すべてではな
いが、”利”を求めて行動する点で、「理不尽さ」は常だと思っ
ておいたほうがよい。

人間がおこなう意味での理不尽さを理解するにはむずかしさ
を伴う。それは、本人がなにも「理不尽さ」だと思っていな
いことが多い。むしろ彼らなりの理屈がちゃんとある。
このようなケースでは、そのような理不尽さがどのようなこ
とから発生しているのかを発見しておくことが必要だ。先ず
話を聞いて大枠を理解することだ。その中から問題の本質に
迫る原因をいかに見つけることができるかという共同作業に
なる。

ある面では、こちら側に専門的知識が不足していたり、仕事
の全体像を把握できていなかったために理不尽に見えていた
という、いわば誤った認識を私がもっていたことが結構あっ
た。
理不尽な現場から機能構築するには、なにも無ところから機
能を生み出すという自分の感覚、いわば直観力が必要だった。
この部分は、暗黙知の部分でなかなか他人には理解しがたい
ところだろうが、見えないものみることができるという人間
が本来もっている機能を活用して発見しているようなものだ。
実際は、なかなかむずかしいことだが、創業期などの混沌と
した環境のなかでは、案外、大きな比重があるだろう。

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