経営者の仕事については多くの書籍がでているが「夢を語り、
資金繰りに責任をもつこと」に尽きるだろうか。また、私が尊
敬するアサヒビール元社長樋口廣太郎氏が言われる「社員に夢
を語らせ、社長は損益の責任を担う」ということだ、と考えて
いる。

実際、大多数の社長は、経営をむずかしくしてしまっているよ
うに思う。その最大の要因は、細かなことまで自分でおこなう
ため、肝心要の経営ビジョンや経営方針といった大局観に立っ
た事業活動ができていないことだ。

しばしば言われることだが、経営者は、社員ができないから自
分がやるというが、およそ、このような社長は先ず社員にやら
せていない。
だが、本人はやらせているというだろう。

結果として社員を育てる手間を省き、すべて自分が指示をだし、
その結果見事に失敗する。
さらに失敗の責任を自ら取ることができればよいのだが、ほと
んど社員の責任に転嫁する。

企業活動は、まれにみる長丁場だ。また、企業は、経営者が死
んでも続く、限りなく永遠に活動する性質を有している。先ず
もって経営者ができる事は知れている。企業活動は、多くの人
材の集積とそれら人材に仕事を任せていく以外に真の成長はな
い。

とくに大手企業において成功した者は、私も含めて成功させて
もらったのであり、自分で成功したわけではない。
この勘違いから経営も転職も間違いが発生する。
今一度、事業活動の成功とは、と定義して、経営者自身が自分
の行動を振り返って見ることをお勧めする。
本当の成功要因が、見えてくるだろうか。