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ベンチャー企業

よい戦略も多いが、ときには転換する必要がある

企業においてよいと思える戦略は案外あるものだ。一方、そ
れを事業化するための手立てについて時間を割いて展開する
ことが少ない。いわばベンチャー経営者の能力だけで進めて
いくということだが、そのことが事業化を遅らせたり、ある
いは事業化できずに失敗することが目につく。

やはりよい戦略だからこそ、具体的な実行プロセスにおける
シュミレーションがかかせない。そしてシュミレーションに
基づいて実行するための戦術まで含めた判断が戦略策定には
必要だ。
もっとも具体的な戦術は目論見書程度であり、実行段階でど
んどん変更しなくてはならない。人材、設備など多くの要素
があるので、実行段階における決断は、非常にスピーディに
おこなうことが重要だ。

その中でも人材の供給はもっとも大事である。簡単に採用で
きないし、経営者は、採用権限を現場に移譲したうえで積極
的にコミュニケーションをとる必要がある。このコミュニケ
ーションは、採用に関与することではなく、事業の社会的意
味や困難さ、あるいは将来像といった企業のビジョンを熱く
語ることによって、より良き人材を確保するためである。

人材の能力ついては、現場サイドに任せていくことだ。経営
者は、必要な人材の能力を見極められる人材(経営管理がで
きる人材)をいかに配置しているかが問われるだろう。いつ
までも自分がということが、企業の成長を阻む。

戦略の転換も大事だ。経営者といえども専門分野は限られる。
社会的に意味ある挑戦でも時期や事業化のタイミングによっ
ては、すばやく転換することが必要になる。
もっとも事業化しやすい分野を、あえて狙うことも必要だ。
ベンチャー企業の場合、この事業転換のタイミングがよくな
いケースが多い。どうしても当初目標(計画)に執着しすぎ
るきらいがある。
ベンチャーキャピタル等の出資を得ている関係で当初計画の
抜本的な見直しを避ける傾向があると言える。

取締役会の議論が活発でないため、よけいに方向転換がしに
くくなっている。常日頃からオープンな議論が必要な理由が
ここにある。

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