何かを成し遂げた人間ほど失敗が多いものだ。ベンチャー経
営者でも、それまでの人生のなかで多くの失敗を経験してい
ると思うが、経営者になった途端、自由さを忘れていくよう
に思われた。
それは起業から事業に立ち向う緊張感といってもよいだろう。
だが、そのことで本来組織に必要なオープンで自由な雰囲気
を壊すようことがあってはならない。むしろベンチャーでは
失敗を糧として、次のステップにつなげていくという粘り強
い姿勢こそが重要だからだ。
経営者は、失敗を恐れてはいないが、失敗から次のステップ
へ移行する段階の社員の気持ちの持ち方とその後の結果につ
いては繊細な注意が必要になる。
理由は、むずかしい挑戦ほど、現場は無理な対応をしている
ことが多く、そのプロセスについて怒ることではなく、真摯
な姿勢で原因をつかむ努力が必要なのは、社員ではなく経営
者本人だからだ。
失敗の原因の解決方法を探すための行動は、常にオープンな
議論の中で実行することが重要である。
そのことで社員は、本当のやる気をだし、さらに本質的な仕
事に立ち向かうようになる。経営者のプライドなどどうでも
いいことだ。必要なことは、社員といっしょになって事業を
成功させることである。
権威的になれば、それに追随する人間だけがついてくる。
本当に事業を成功させるような人材は、子供のような純真さ
をもっている人達から生まれてくる。
経営の現実がどうであっても、社員だけには楽しく挑戦させ
ていく人間力ある経営者の存在が大手企業以上に要求される。