自社の売りをもっていれば大企業との取引ができるが、なん
といってもむずかしいことは、事業計画に基づく品質や納入
数量、あるいは納品単価などプランどおりに上手く進むかど
うかだ。
当初のプランが甘く、その後、このことで非常に苦しむこと
になった。「自社の売り」をもつことは大事だが、それを現
実のビジネスプランに落とし込んだとき、大きな齟齬がでる。
ベンチャーキャピタルが投資しているだけあって「大手企業
との取引」や「自社の売り」といったビジネスの骨格はしっ
かりとあった。
問題は事業展開の精度だ。
ビジネスとは、元々プランどおりにはなかなかいかないもの
だが、ベンチャー企業における事業プロセスは、一般の企業
よりも精度が低いことが多く、それだけ事業プロセスを的確
に把握しておく必要がある。
単に「大手企業との取引」や「自社の売り」だけでは、拡大
は見込まれない。拡大するための事業プロセスが自社内にし
っかりと構築されてはじめて事業の実績がビジネスプランに
近づく。勢いはあったが、事業プロセスが弱いベンチャー企
業ばかりみた。
1社だけは、大手企業との取引もなく、売りも弱かったが、
事業プロセスに独自性があり、しかも柔軟性をもっていた。
そもそも成功する事業プロセスを構築できるから、現在でも
成功が続いていくのだろう。