会社を廃業することを考えてみると、その時点で借金が残っ
ていれば、その借金を返済しなければなりません。
このことから年1回、会社の清算価値を知ることは重要です。
会計上のルールでは議論があるところですが、経営実務の観
点からすれば、会社を清算する場合、処分価格を基本とすべ
きです。
先ず、現在ある資産を計算します。不動産 (時価)、預金等、
車、株式、工場の機械設備、売掛金、未収入金、差し入れ保
証金などがあるでしょう。
次に、負債を計算します。借入金、未払金、買掛金、預かり
保証金、未払い給与、退職金などでしょうか。
資産など現金化できるものから、負債の借入金など、支払う
ものを引けば、現時点での会社の精算価値が算出されます。
清算価値がマイナスであれば、負債のほうが多く、その時点
清算できないことになります。
会社が成長していくための財政の基準は、いつでも会社を清
算することができる財政水準を保っていることです。
これが会社経営の第一歩です。
次に成長が可能となる投資がおこなえる財源の確保が必要と
なります。
銀行借入が多い中小企業では、清算価値を維持して借金の返
済能力をもつ企業は少数です。
企業経営は、だらだらとやるのではなく、毎年1回清算価値
を知ることで緊張しておこなうものです。
借入金を返済できない企業が多い事実を知れば、多くの経営
者がいかに緊張感なく経営しているかということを証明して
います。
借入は事業を拡大するうえで重要な要素ですが、清算価値を
みれば、清算できる企業は5%ほどだと言われています。
この点をよく理解しながら経営に当たっていくことが求めら
れます。