私の父は、個人事業をおこなっていましたが、銀行からけっ
こう大きな額の借入をしていました。とにかく、ぶらっと銀
行に立ち寄ることが多く、地銀ですが担当者や支店長とよく
お茶を飲んで世間話をしていました。
よく立ち寄っていた銀行は、メインバンクだったようですが、
しばしば融資をしてもらっていました。
銀行へいくことで経営環境や他の銀行の情報などを聞くこと
ができ自分がおこなっている事業にプラスになるといってい
ました。
たまに、支店長から預金のお願いなどをされていましたが、
いつも快く応じていた姿が印象的でした。
自分が苦労したときに融資をしてもらった恩返しだ、と語っ
ていました。
銀行からすれば、いつもぶらっと立ち寄っては、現在の仕事
の状況や今後の事業展開を語る父に好感をもってくれていた
ようです。
もちろん、借入金は大きな額でも、小さな額でもきちんと返
済していましたから、父の経営スキルはまずまずだったので
はないでしょうか。
破産することもなく、亡くなるまで事業をおこなっていまし
が無事に清算することができました。
亡くなったときに大きな額の借入金がありましたが、それも
すべて返済ができました。
昨日、書いた清算価値からすれば、資産のほうが多く見事に
清算ができました。
銀行との取引といえども人間がおこなっているものです。
あまり形式的に付き合うのではなく、企業が小さな時代ほど
ぶらっと銀行を訪ねて無駄話をしてみることが必要でしょう。
人というのは、訪ねてくれたり、いつも顔をみせていること
で信頼が深まるものです。
嫌な顔をされなければ、たまには担当者などを訪ねて顔をみ
せて近況報告でもしておくことです。
資金を借りてやる的な態度は慎むできでしょう。
銀行との力関係だけで言えば、個人事業主や小さな会社では、
戦わずして明らかです。
小企業の経営者こそ、愛想よく銀行と付き合っていくことで
はないでしょうか。
父は楽しそうに銀行にいっていた記憶が残ってます。銀行の
担当者や支店長もいつもにこやかに接してくれていました。
父は生前から銀行の担当者や支店長へ亡くなったときの返済
についても話していたのでしょう。
父が亡くなり私が返済の話をしにいった際、いそぐ必要はあ
りませんから、と言われました。
返済は、毎月預金から実行されており、その時点ではとくに
問題もありませんでしたので、相続をする時点で一括で返済
しました。
いまさらながら父の経営手腕に感嘆するばかりです。
経営とは常に借入利率以上の利益をあげることが原則です。
借入利率以下の利益率しかあげていなければ、早晩、企業は
立ち行かなくなります。
厳しいですが、それが経営の本質です。
これからの時代、昭和の時代と違い確実に経済活動が鈍化し
いきますから、銀行との付き合いは利益でしか判断されない
でしょう。
返済されないことがわかっている融資などできるわけがない
からです。
銀行との付き合いは、経営者が利益をあげることができる経
営手腕があってこそできるのです。
融資には、そのような経営者の手腕を活かす役割があるので
はないでしょうか。
融資をもらえないのは、銀行が冷たいのではなく、自分の経
営手腕が評価されているのだ、と考えておくことです。
まず、自らの経営手腕を磨いてください。
そこが経営のスタートです。