これからの時代、小企業にもチャンスがあるが、それには小
企業ほど独自性が必要になると考えている。
もっとも、これから独自性がいる企業は、小企業に限らない
のだが、そもそも独自性を生み出す原点はなんだろうか、と
考えてみた。
結論から言えば、社員への権限委譲だと思う。
もちろん、いろいろな権限委譲のやり方がある。どのような
スタイルにするかは経営者次第だろう。
むしろ、小さな企業ほど権限委譲していくしか、企業の成長
はない、とだけ言えそうだ。
小さな企業ほど、はやい段階から社員へ権限委譲してみるこ
とだ。
理由は、社員の能力はわかるし、市場や顧客の状況が手に取
るようにわかるだろう。
経営者の仕事のひとつは、社員へ権限委譲すれば、委譲され
たなかで社員ならではの考え方や行動によって社員は必ずな
んらかのアクションを起こそうとする。
経営者は、その内容を確認しながら承認するか、否決するか
だけだ。
経営者からみてもリスクが低いものは、どんどん社員へ挑戦
させることで社員の能力に磨きがかかるし、そのなかに企業
を支えていく製品やサービスが生まれる可能性があるだろう。
結局、これしかこれからの時代の小企業を成長させていく方
法はない、と私は考えている。
経営者がやるべきことの残りの大事な仕事は、資金繰りだ。
これだけは、経営者自身できちんとおこなっておく必要があ
る。
経済成長ができていた私たちの時代であれば、可能な限り、
製品やサービス標準化しながら売上を拡大することが理にか
なっており、企業は順調に成長してきた。
社員の個別の能力を活かすより、経営者の独断や、あるいは
コンビニのように経営システム運用の巧緻さによって売上を
あげていくほうが効率がよかった。
それも限界にきた企業は、この30年間で企業の提携や合併
で、現在はなんとか売上や利益を維持している。
セブンイレブンのような高効率なシステムまでもが機能しな
くなるほど経済環境は悪化しているみたいだ。
まさに重症といえるだろう。
コンビニだけではないが、これまで運用してきたチェーンオ
ペレーションが機能しないほど来店客が減少しているようだ
し、従来の来店客数を確保するための様々な投資コストが利
益を圧迫している。
スーパーなどの今期の四半期決算をみると、総崩れだ。
このような時代こそ、小企業の小回りのよさが事業を発展さ
せていくチャンスだろう。
だからこそ、社員へ権限委譲する意味がある。
経営者は、将来、このような社員を経営幹部へと成長させて
いかなくてはならない。
事業を大きくすることも大事だが、もっとも重要なことは、
小企業こそ他社を凌駕する利益を生み出す経営ができるこ
とだ。
同時に人材育成を徹底的におこなうことに尽きる。