中小企業と上場企業における銀行取引においては大きな違い
がある。株式公開をすればパブリックカンパニーとして財務
内容を財務諸表として公開しなければなりません。
上場企業が財務諸表を公開する理由のひとつは、投資家に向
けて企業価値を公開するためです。投資家は財務諸表から企
業の情報を読み取り、投資する価値があるかどうかを判断し
ます。
上場会社の不良資産(不良債権)の定義は、次のような内容
になります。
不良資産(不良債権)とは、回収が困難または不可能になっ
た債権を指しますが、具体的には、以下のようなものが該当
します
受取手形や売掛金における取引先との信用取引によって生じ
た未回収の売上債権。
貸付金は、取引先や関連会社、個人に対する未回収の貸付金。
立替金は、取引先に代わって負担した費用で未回収のもの。
未収入金は、未収請負金、未収加工料、未収地代家賃などの
未回収金。
会計処理の手順において不良債権の処理は、以下のように行
われます。
貸倒引当金の計上
不良債権が発生する可能性がある場合、まず「貸倒引当金」
を計上します。これは、将来の貸倒れに備えてあらかじめ費
用として計上するものです。
貸倒損失の認識は、不良債権が確定した場合、以下のように
処理します。全額回収不能の場合は、売掛金全額を「貸倒損
失」として処理します。
直接償却は、不良債権が最終的に回収不能と確定した場合、
直接償却を行います。これは、債権を帳簿から完全に消去す
る処理です。
注意点としては、不良債権の増加はキャッシュフローの悪化
を招くため、早めの対応が重要です。また、税法上の貸倒れ
の範囲が会計上と異なるため、税務上の調整が必要になるこ
ともあります。
上場会社における不良資産の会計処理は、貸倒引当金の計上
から始まり、最終的には貸倒損失として処理されることが一
般的です。
中小企業においても会計上の対応は同じようにおこなうこと
ができますが、問題は借入金が多くあることで銀行との取引
関係を重視しなければならないことです。
中小企業でも真面目な経営者は、回収不能の資産などを直接
償却してしまうようことがあるようですが、この点、銀行は
嫌がります。
理由は、大幅な赤字決算になるからです。
中小企業の場合、徐々に損失処理をおこなうことがセオリー
です。
事業が順調に成長でき黒字であった場合でも、借入金がある
場合は、毎期適切な処理額を検討しなければなりません。
その際、必ず税理士や会計士に相談しながらおこなってくだ
さい。ここを間違うと銀行取引そのものに大きな影響がでま
す。