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経営

コスト削減社会とは、無責任社会の別名なのだろうか

このごろは考えられない事故が起きるものだ。
新幹線の保守をしている車両同士が衝突するなど、前代未聞
のことだろう。
7月22日の新幹線は、始発から名古屋や浜松間が全面運休
した。復旧し運行されたのは、事故翌日の23日だった。
日本の大動脈だけに、23日は始発から大勢の乗客で混雑し
ていたようだ。

この事故に限らずJRグループではいろいろなところで問題
が発生している。
もっとも、JRに限らない。
トヨタを含む自動車業界など、ありとあらゆるところで前代
未聞のことが起こっている。
私見だが、JRでは、どこに問題があるのかもわかっていな
いのではないだろうか。

企業経営において利益を出すことは大事なことだが、利益だ
けを優先する経営には落とし穴がある。
メンテナンスが必要と思われる設備の点検や更新などを放置
するからだ。
放置という言葉は厳しすぎた、放置しやすくなると言い換え
ておこう。
おそらくだが、設備に問題が発生しない限り異常なしとして
運用されており、なにか事故があった場合、点検と確認作業
はおこなっていた、と言うのだろう。
何度も報道で目にする言葉だ。
中央道の笹子トンネル天井板落下事故では多くの死亡者を出
したが、同様のコメントを聞いた。

下手に設備交換などメンテナンスの重要性を発言しようもの
なら、どんな手順でどこからやるのかさへ、あまりも膨大で
集約することができないのだろう。
最大の問題は、メンテナンスコストを新たに計上する必要が
あることだ。
当然、このような体制を構築するとなれば、事業計画の当初
予定利益を確保するために売上をあげることが求められる。
それでなくとも経営環境は厳しい。
とくにJRでは、地方の赤字路線を運行しなければならない
から、ドル箱の新幹線で稼ぐ経営だ。
コストが増加する施策をおこなうことなど考えられないだろ
う。
これから国や企業ともに、国民もだが、断末魔の苦しみを味
わていくことになるのではないだろうか。

このような状況を転換できる経営者は、もうわが国にいない
と思っている。
問題個所と思われるところを放置し(なるべくみないように
して)、利益のためにコストが増大するメンテンナンスの仕事
は外注(下請け)に出す。
経営のため運行本数は増やすが、メンテナンス作業をしてい
く現場は常に時間との勝負を強いられる。
どこに責任の所在があるかもわからないようにしているのだ
ろうか。
部分部分を糊塗しながら企業経営はこれからも進んでいくよ
うに感じる。
問題が発生すれば、その時の経営者がババを引いたというこ
とだ。先日もババを引いてしまった経営者が出た。

コスト削減が行きつく先は、ロシアンルーレット的社会だ。
だれがいつ、その問題に遭遇するかわからない社会だ。
地震のような自然災害ならいざ知らず、人間が作ってきたシ
ステムにおいても予測可能性が低くなる社会をつくりだして
いる。
東電の原発事故では、地震といえども防ぐことができた事故
だったが、安全性が放置されており、あってはならない事故
を起こした。
しかもほぼ独占企業にしてこの経営だ。
経済が成長しない社会では、ますますメンテナンスコストな
どは削減されていくだろう。

このような矢先、JRが所有するドクターイエローというメ
ンテナンス専用車両の運用終了が報じられた。
日常的なメンテナンスは、実際に運行されている列車の中に
メンテナンス機器(検査機器)を設置して問題個所を発見し
ていくという。
技術の進化は、どこまでもコスト削減を可能とする社会をつ
くっていくのだろうか。

レールの交換やバラストの補給、あるいは線路のずれなどを
直すには、今回の事故で使われている大型のメンテナンス用
車両が使われているようだ。
私見だが、今回の事故は単純なミスだと思う。
下請け任せの余裕がないメンテナンス体制や保守時間の削減
などのつけが、いろいろなところにでているだけではないだ
ろうか、と思った。
製造業におけるプラントの爆発や火災事故も同様だ、と想像
している。

そういえば、先日、中国発のショッピングサイトのSHEIN
シーイン)やTemu(テム)の格安商品から違法な有害物質
が確認された、と報じられていた。

コスト削減社会とは、ある意味、無責任社会の別名だろうか。

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