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採用試験

お金をいう人間は採用するな

タイトルの内容はかなり過激な言葉だが、私を採用してくれ
たソニー子会社の当時の社長が、私にいった言葉だ。
理由は、お金(給与ばかり)をいう人間は、お金でやめるか
らだ、と。
私はそういものかと思った。
だが、会社は立上げ期、しかもソニーと名前はついているが、
出来たばかりのおんぼろ子会社に人はこない。上司と私は、
苦しまぎれにお金をいう人間を採用した。
後に、見事に退職された。
社長に笑われた。。。
私は、このときはじめて社長が言った言葉を体得した。

今の時代なら、お金(給与)を言う人間を採用するのだろう
か。私にはわからないが、私は、今企業に採用されたとして
も、お金はいわないだろう、と思っている。
それにしては、私の記帳代行料や経営のアドバイス料は高い
が。。。
それには理由もあるが、今日のテーマではないので、またの
機会にする。

採用時、何を基準に採用するかということは、いつの時代で
もなかなかむずかしいことだ。
相手が人間だからだ。
企業がどうしても必要だと思う専門的な知識をもっていれば、
高額な報酬を提示することはあるだろうが、企業の報酬支払
いに限界があるときもある。
一筋縄でいかない問題だ。
だが、きわめて少ないだろうが、特定の専門分野に限定され
るのならあることが必然だろう。

私は、一般的な社員の採用時という点で書いているのだが、
この場合、先にお金(給与)の話をしてくる人間を社員とし
て採用できるのだろうか。
一般的にはむずかしいが、今の時代のような人手不足時代な
ら、ないこともないだろう。
多分だが、給与だけを目的として入社すれば、どこか別な企
業で高い給与の仕事があり、その会社に採用されれば、また
転職するだろう。
人間にとってお金の存在とは、そもそもそういうものではな
いだろうか。

このようなとき、どのようなベース(基本、原理原則)で採
用を考えるかというための検討材料があった。
今読んでいる本「ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則」
からだが、このような内容を読んで考えてみることも大切で
はないだろうか。
なぜ今頃古いこの本を読んでいるのか、ということにも出会
いがあるが、それを書くと長くなるので、またの機会にする。

<本文>
『どういう人が「適切な人材」なのかを判断するにあたって、
飛躍を遂げた企業は学歴や技能、専門知識、経験などより、
性格を重視している。具体的な知識や技能が重要でないとい
うわけではない。だが、これらは教育できるが (少なくとも
学習できるが )、性格や労働観、基礎的な知能、目標達成の
熱意、価値観はもっと根深いものだとみているのである。
ピットニー・ボウのデーブ・ナセフはこう語っている。

わたしは海兵隊出身だが、海兵隊は将兵に価値観をたたき込
む点で大きな成果あげているとされている。だが実際はそう
ではない。海兵隊はみずからの価値観にあった人材を採用し
て、隊の任務を遂行できるように訓練しているのだ。ピット
ニー・ボウズでも同じ方針をとっている。当社にはたいてい
の企業より、適切な行動をみずからとろうとする従業員が多
い。採用にあたって、職歴だけに注目することはない。どう
いう人物なのか、どういう価値観をもっているのかに注目す
る。どういう人物なのかを知るために、これまでの人生でく
だした決定の理由を質問する。その答えで基本的な価値観が
分かる 。

超優良企業のある経営幹部は、業界での業務経験がない人や
職歴がない人を採用して大成功を収めたことが少なくないと
語っている。第二次大戦で二度捕虜になり、二度とも脱走に
成功した人を採用したこともあるという。「それができた人な
ら、ビジネスは問題なくこなすだろうと考えた」』

今日本企業は、人口減少社会という時代の転換点にあるが、
転換点にあるだけにこれらの言葉は重要だ。
このような採用がおこわれている企業が何社あるだろうか。
私がみてきた限りでは、皆無だった。
もっとも、働かせてみなければわからないと、誰でもすぐに
採用するが、すぐに退職してしまう超ハードな企業は経験し
た。
それでも成長していく企業は、企業が成長するとともに、こ
のような採用&退職型も転換されているだろう。

日本企業の採用は、多くの点で似たり寄ったりだ。
その理由は、採用支援をおこなう企業のツールを使うという
シンプル理由からだ。
今は『企業が人材採用で偏差値重視の選抜方法から脱却し、
「非認知スキル」に着目すべきと提案している。IQテストや
暗記力だけでは測れない「洞察力」「好奇心」「想像力」など
の資質が重要だ」』とした新たな採用ツールが提案されてい
るらしい。
昨日、読んだ記事にあった。
採用支援会社は、常に新しい内容のサービスを考えだす。
多く企業は、またそれらのツールを利用する。

それでも日本企業の定番は、最後の役員面接だ。
ここだけは、採用における独自性が出せる場所だが、この本
のような視点で面接をおこなっている役員がどれほどいるの
だろうか、と考えてしまう。

このような時代の転換点にあるときこそ、他社と違った視点
で採用活動をおこなうことを検討してみることが重要だ。
とくに本の内容のような視点で採用ができるのは、オーナー
経営者だろう。
人材不足だが、安易な採用をおこなえば、中小企業ほど自社
の企業力を間違いなく落とす。
中小企業にとって、本来人材は生命線だ。

人がやらないことをやる、という挑戦は、人材獲得にこそ必
要だ。本のようにやることだけではない。
経営者自らの頭で考え、実行するものだ。

私は、営業職から総務の仕事に転換できた。
動機は、お金(給与)ではなく、ただ総務の仕事がどうして
もやりたかったからだ。
36歳の職歴がない人間を取る勇気ある社長がいた。
それが、ソニー子会社の社長だった。
入社後、厳しい仕事の連続だったが、そこには躍動感と感動
が渦巻いていた。
見事に私の人生は生まれ変わった。

経営者には、人材を見抜く勇気をもってもらいたいものだ。
そんな感動的な出会いがあり、仕事のチャンスをもらえば、
生涯企業に感謝し、さらに人生を支えてくれるアンカーとな
る。
駄目な人間の私でさへそうなるのだ。
経営者とは、本来、多くの人たちに感動を与えることができ
る最高の仕事だ、と思う。
能書きばかりが多い社会だが、経営をシンプルに考えて、社
員が一生懸命働くことができる会社であってほしいものだ。

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