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内部監査

検査データの改ざんは、ダイハツよりも先にあった

2 0 1 8年 4月 10日、日本監査役協会の第 86回全国会議が横浜
市で開催された。

会議のタイトルは「社会的信頼に応えるための企業の課題—
経営と現場をつなぐ監査役等の役割」だった。

当時、神戸製鋼、日産自動車、スバルなど日本を代表するメ
ーカーにおいて、検査データを改ざんするなどの品質・検査
不正が相次いで発覚していた。「現場で起きていることを経営
執行部が認識していない」「外部への通報により発覚し、結果
として対応も後手後手」といった指摘が出ていた。

こうした問題を受けて行われたパネルディスカッションでは、
登壇者から「経営と現場が乖離している」という指摘が相次
いだという。
その「乖離」は、果たして現場の責任なのか、それとも経営
者の責任なのかについても議論になった。パネリストの 1人
のオムロンの常勤監査役の近藤喜一郎氏はこういった。
「問題の根源は、やはり経営側にあると思います」と発言し
ている。

近藤氏は「報道を見ている限り」と断りながら、「生産性や
納期最優先、収益重視の経営姿勢というプレツシャーが何ら
かの形で現場に落ちてきているのではないか」と述べている。

では、どうやってその乖離を埋めるのか。パネリストの 1人、
青山学院大学名誉教授の八田進二氏が 一つの「処方箋」を紹
介した。
八田氏は「キーワードは内部統制」といった。
「例えば」として、足の指先にけがをしている状態を例に挙
げた。足指のけがに気づかなければ人間はどうなるのか。次
第に運動能力は落ち、治癒もできない。神経系統が機能して
いなければ、人間の体は時間を置かずに機能しなくなる。
「企業においてこの神経系統が内部統制にあたる。まずは、
内部統制を整備して運用することが大切だ」と説明した。

八田氏はさらに「それぞれの部署、それぞれの担当者が自分
に与えられた役割 (責任 )の意味を感じて、完全に履行して
いくことが必要」と現場の責務にも触れ、「果たしてきた役割
や、命じられた業務に対し、報告、説明を行い、納得しても
らうアカウンタビリティの概念が欠落している」と説明責任
の大切さを訴えたのだった。
<ここまで監査役の矜持より抜粋>

これからもこのような議論ばかりが続くのだろうか。
具体的な抑止策は、と私は聞いてみたくなる。

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