国内市場における競争が激化していくだろう、と予測してい
たが、はやくもその兆しがあちこちでみえてきた。
昨日、宅配便ヤマトが逆張り値下げ「荷物争奪戦」が過熱と、
東洋経済オンラインで報じていた。
価格攻勢をかけているのは、宅配便のヤマト運輸だ。ヤマト
は精力的に法人顧客の開拓を進めているようだが、当然だ。
理由は、生きるか死ぬかの戦いがはじまっているからだ。
なにも宅配業界だけに限った話ではない。市場全体が縮小し
ているわけだから、荷物量が少なくなれば、他社から荷物を
奪うしか売上はあがらない。
前に書いたセブン・イレブンのピザ宅配事業と同じ構図だ。
このような構図が、今後いたるところでみえてくるだろう。
市場が拡大できない先にあるものは業界の再編だろう。
まだ競争力があるとおもわれていた自動車業界でさへ、事
実上、トヨタとホンダ(日産)の二つのグループになって
いる。
なにも宅配ビジネスだけではない。多くの企業が同様な立
場に立たされている。
以前は、業界内で価格維持ができる成長性があったが、今
ではそのようなこともできず業界の集まりも、遠からず形
骸化、あるいは消滅するだろう。
企業ごとに生死をかけた戦いがはじまるため、業界団体の
存在は邪魔になる。
商品の値上げばかりが、まくしたてられているが、足元を
をみればメーカーは在庫の山だろう。消費者に購買余力は
少なくなっており、多くの家庭で生活費の見直しがおこな
われているからだ。
主食の米が不足し、価格が上がっている。
いろいろな商品をみるが、商品力がないものや供給過剰に
なっている商品は、昨年とそれほど価格は変わらない。販
売数量が減り、値上げができない企業は利益がでるはずが
ない。
いわゆる消耗戦だ。
東洋経済オンラインは『物流業界は2024年4月に残業の上
限規制が導入され、拘束時間や休息時間などの規制も強化
される「物流2024年問題」を迎えている。長距離トラック
ドライバーの待遇改善が中心で、宅配の現場に直接影響す
るものではない。しかし宅配便大手でも、協力会社に委託
している長距離のセンター間の輸送コストなどは着実に上
昇する。
委託先に払う運賃が上昇することもあり、各運送会社は2
024年問題を機にコストの上昇分を荷主側にしっかりと転
嫁し、単価を底上げしていこうというのが業界の機運なの
だ。そこで大手のヤマトがむしろ単価を下げて攻勢に出て
いるのは驚きだ。
もちろん、営業の強化や個数を追う方針自体は責められる
ものではない。また、現在ヤマトが進める配送網の構造改
革の効果によって、早期に値下げ分を回収できる公算があ
るのかもしれない。
しかし、安値受注で苦しい状況に追い込まれるのは、過当
競争に陥った物流業界が数十年間、経験してきたことでも
ある。
今は運賃や単価の適切な値上げを進め、効率化策も実行し、
物流業界全体で待遇や地位を底上げしていく重要な局面だ。
ヤマトには業界のリーダーとしての実行力が求められるの
ではないだろうか』と書いていた。
私は、この理由について、市場が拡大し、賃金が確実に上
昇ていればこそ値上げは可能だったが、市場が縮小し、賃
金もさほど上がらなければ、荷物の数量は確実に少なくな
り、業界云々と言っている場合ではないからだ、と考えて
いる。
ひとつ不思議な現実をみた。今年はじめてAmazonで水を
購入した。どれも9本入りの水だったが、水だけはヤマト
が運んでいた。
理由は、わからない。だが、9本入りの水は重たいことだ
けは間違いない。私には持てなかったからだ。
ヤマトだからこそ値下げしても数量拡大を図り、次のステ
ージに備えていく力をもてるのではないだろうか。
現在、ヤマト運輸は自社のブランド力で売上を拡大できる
チャンスでもあり、また、そうしなければならない厳しい
経営環境にあるのだろう、と想像している。
このような競争を避ける企業は、ドンキ・キホーテのよう
に米国に挑戦することになる。
米国だけではなく、海外で勝負していかない限り成長はな
い。
国内競争だけに埋没する企業は、企業数が多いほど人口減
少社会では宿命的にあるステージまで価格競争になってい
く。
企業数が多ければ多いほど談合的値上げなど、そもそもで
きないし、企業というものは、誕生したときから自分の力
で生き残っていくものだ。