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不正

不正は、これからも形を変えて続くだろう

国土交通省が川崎重工・神戸工場に立ち入り調査 船舶用エ
ンジンで燃費性能のデータ改ざんされていた、とMBSNEWS
が報じた。8/22(木) 9:45配信

その内容は『川崎重工業は、船舶用のエンジンなどの燃料消
費率の測定データを改ざんしていた問題で、国土交通省の職
員らが22日午前、神戸市内にある川崎重工業の工場へ立ち入
り調査に入りました。
立ち入り調査に入ったのは神戸市中央区にある「川崎重工業」
の神戸工場です。
川崎重工業によりますと、船舶用のエンジンを組み立てた後
に行われる試運転のデータについて、実際に測定された燃料
消費率とは異なる数値を記載していたということです。デー
タの改ざんは、2000年以降に国内外向けに製造されたほぼ全
てのエンジン、673台で行われていました。
川崎重工業によりますと、不正を行ったエンジンについて、
安全性に影響する事案は確認されていないということです。
国交省は関係者から検査の状況などについて聞き取る予定で
す。また、川崎重工業に対し全容を解明するとともに再発防
止策を策定し、9月末までに報告するよう指示しました』と
コメントされています。

どうしてこのように大手企業の不正は続くのだろうか。
私には不思議でならない。
不正をおこなっていた大手企業では、必ずといっていいほど
「不正を行ったエンジンについて、安全性に影響する事案は
確認されていない」と、不正をおこなった大手企業は、どこ
も同じようなコメントを出す。
まるで示し合わせたかのような内容だ。
このようなコメントを出すことでリスクはないとでも思って
いるのだろう。
検査不正<安全性とみている。
検査項目や方法が、時代に合っていないのだと、どこかの経
営者が述べていたようだが、そうでもあれば、そのような主
張をしっかりとおこない、国や行政に検査項目などの見直し
を要望しなければならない。
私は、日本の大手企業もくるところまできた、という感じが
している。

少し振り返ってみよう。
実は、経団連から次のコメントが出されていた。
『日産自動車や東レ、三菱マテリアルと立て続けに品質不正
が発覚した2 0 1 7年 12月、経団連は榊原定征会長名で「品質
管理に係わる不適切な事案への対応について」という通知を
約 1 4 0 0社の会員に出した。
通知は「品質管理に係わる不適切な事案が続いていることは
極めて遺憾であり、わが国企業に対する国際社会および国民
からの信用・信頼を損ないかねない重大な事態であると受け
止めています」とし、会員などに品質管理にかかわる不正・
不適切な行為がないか、関連会社・傘下企業を含めた調査を
求め、法令や契約の遵守、実効性のある不正防止策の実施を
要請した。そして、「法令違反などの行為が確認された場合に
は速やかに公表し、関係省庁および当会にお知らせください」
と記されていた。
要請のとおり、経団連の加盟企業は、品質や検査に関する不
正が発覚した場合、経団連に通知してきた。しかし、ほとん
どの場合、外部への発表と同時で、この通知による調査が発
覚のきっかけとなったケースはなかったと思われる。経団連
が出した通知だが、どの企業も形式的な形で運用していた可
能性がある』と「監査役の矜持という本の中に記され
ている。

おそらくだが、経団連が発する文書など真面目に対応しよう
とする企業はないのではないか、とおもわれる。
むしろ、日本では業界団体のほうに、より大きな問題があり
そうだ。
私の社員時代でさへ談合問題をみてきたことがあり、今でも
同様な問題があると個人的に想像している。
いわゆる談合体質がきわめて高いのが日本社会であり、その
なかでも業界団体でいろいろな話し合いがおこなわれており、
品質不正も企業間で話し合い(非公式にだが)がおこなわれ
ていたのではないか、とさへ想像している。
理由は、同様な検査不正が、あまりにも多いからだ。

日本社会の横並び体質は、適法な点ではよいこともあるのだ
が、違法な点では、すぐにのりを超えていく力をもっている
ことだ。
この点、自らに都合がよい社会性をつくることを欲する人間
が多いわが国の企業社会は、組織内にはびこる不正に対して、
ひとりの人間が立ち向かうことなど不可能に近いだろう。
できる人間がいるとすれば、退職して告発するしかない。
だが、同質社会は、告発こそが、人間の生存にとって最大の
リスクになる。
告発すら機能しにくい社会性を有しているからだ。

私でもむずかしい局面に立たされたことがある。
平社員だったが、談合に対して表面的に従うふりをしながら
、実際の仕事では会社の指示を無視した。
これとて危ない判断だ。
会社の指示に従うふりをしているからだ。
私はおかしいと言ったが、取締役の指示でおこなっていたの
で、会社の誰もその指示に逆らえなかった。
こんな経営に愛想つかして辞めたかったというのも本音だっ
た。
談合などする会社の仕事がばからしくなった。
告発することはしなかったが、その後、退職した。
談合をおこなう企業とは、私は、経営能力が低い人間たちに
よって、経営がおこなわれているものだ、と考えている。
今でも嫌な思い出だ。

現在、わが国は人口減少社会になってきた。
国内における販売拡大がむずかしくなり、企業間の競争は、
生き残りをかけた戦いに転じている。
企業間競争が激しくなれば、業界を中心とした企業同士のま
とまりは、崩壊していくことになるだろう。
そこで起こることは、企業間でおこなわれていた情報が遮断
されるということだ。
談合は、これから徐々にだが、機能しなくなっていくと思わ
れる。
これはこれでよいことだ。

しかし、不正はなくならない。
人口減少社会のなかではじまる国内市場における激しい競争
は、企業の売上や利益にストレートに反映する。
これからの不正は、談合などよりも、個別企業の事情によっ
ておこなわれてくるはずだ。
だが、そのような企業に未来がないのは明らかだ。
確実に企業が淘汰されていく時代がはじまる。
まさに企業が選別されていく。

企業で働く社員は、企業が選別される時代のなかで、経営者
の経営能力をみていくことになるだろう。
経済が縮小していく社会では、不正に限らず、あらゆること
に対してこれまでと違った視点でみておくことが求められる
のかわもわからない。
どんな時代になっても、企業における不正がなくなることは
ない、と私は思っている。
企業だけではない。
あらゆる種類のサギが横行し、個人がおこなう不正も多く目
にするようになった。
人間が社会を構成する以上、時代背景のなかで、あまたの問
題を引き起こす。
どんな人間も、そんな社会を泳いでゆかなければならない。
いつの時代でも、企業で働く人間に限らず、人が社会の中で
生きるとは、相応な覚悟がいるようだ。

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