会社から社長個人へ貸付金が溜まってしまうことがあります。
これは銀行の印象を非常に悪くします。
会社からお金を借りたのですか、と社長へ確認すると、多くの
社長は「借りてない」と答えます。
だが、会計帳簿上、そうなっていることがあります。
このようなことが起きる理由ですが、社長が出張のため仮払い
30万円をおこなったような場合で、社長から提出された領収
書が 25万円分しかなかったとき、残り5万円は何に使ったか
ということが起こります。だいたい交通費だったり、よくして
くれた方への心づけだったりします。
使途はきちんとしていることも多いのですが、単に領収書をも
らえないか、あるいは領収書をもらい忘れたということがあり
ます。
こんな場合、会計処理をしなければ、5万円は社長への貸付金
となります。
同じことが繰り返し発生すれば、その額が数百万円に膨らむこ
ともあります。よその人がみれば、社長が会社の金を個人的に
着服したように見えてしまいます。
銀行側から見れば、このような会計処理が続く経営者へは、お
金を貸せないものです。
きちんとした税理士であれば、領収書のない 5万円を別の方法
で会計処理するでしょう。たとえば、交際費、交通費、出張費
などです。社長に確認し、メモなどを書いてもらい処理するこ
ともあるでしょう。
社内規定で出張費が1日 1万円になっていれば、その範囲内で
処理できるようにしてくださいと指導することもあるでしょう。
それでも足りなければ、他の方法もありますが、それは税理士
さんや会計士さんへ相談してください。
また、実際あったケースですが、会社から社長への貸付金が 3
00万円ほどになっていましたから、社長が自分で購入してい
た車両を時価で会社に買い取ってもらいその資金で 会社からの
貸付金を返済してもらったことがありました。
社長への貸付金が長期間返済されず放置されたままになってい
る場合、税務調査で指摘され「役員報酬」として取り扱われる
可能性があります。会社から社長への貸付金はないように処理
するのが原則です。