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経営能力

昇進に興味がない若者が増えているらしい

「あ、昇進するなら辞めます」若者の新常識のなぜ
2024年09月05日 13時20分 東洋経済オンラインで配信さ
れていました。

昇進に興味がない若者たちは、いつの時代でもいたのではな
いでしょうか。今の時代は、多くの情報が発信されることで
若者たちの意識や行動を変えていく可能性もあるでしょう。
しかし、どの時代でもその本質は同じようなものではないで
しょうか。

若い人たちは、会社における上司たちの仕事をする姿をみて
いるからです。
私の時代でさへ上司の姿に幻滅しました。
ずいぶんむかしの話ですが、私は、入社早々、昇進などを求
めなくなっていた、と思います。
退職理由のひとつは、会社のなかでとくに評判が悪い上司の
もとへ異動させられたことでした。
もっとも、この方との出会いがあったからこそ、退職を可能
とさせてもらったともいえるでしょう。

息子が昇進したくないといっていましたが、理由は同じよう
なものでしょう。
ただし、息子は尊敬できる先輩(管理職かどうかは聞き忘れ
ましたが)が二人いるといっていましたから、このことがこ
の企業にとどまっていられる理由かもわかりません。
時代が変わっても人間がやることは、それほど変わるもので
はありません。
むしろ30年ほど経済が成長しない時代が続きましたから、
企業の状況は、私たちの時代より悪化していると思われます。

管理的な仕事(雑務)で残業が増え、自分の生活バランスが
崩れていくようであれば、若手の心理的傾向は昇進は名誉な
ことではなく、不幸なことでしかありません。
長男ではありませんが、賃金と労働時間は、ほどほどがよい
と思う若手社員も少なくないと思われます。

およそ昇進(管理職)=雑務(責任だけは重くなる)ととら
えています。
私もそのように管理職をみていました。
もっとも、株式公開を目指す企業や中小企業では、プレーイ
ングマネジャーですから、こちらは結構おもしろさがありま
した。経営にも絡めば、現場にも絡んで仕事できるからです。
社長と連携しながら組織構築をすることで、仕事のなかで自
分の成長を実感できます。

それでも企業の成長が安定してくれば、管理職の仕事は雑務
に感じてきましたから、私は退職して次の会社を目指してい
ました。
私の場合、管理職でもなにかに挑戦できる環境があればよい
だけです。
ただし、その会社でずっと働くこともありません。
企業活動が安定してくれば、人間関係などがめんどくさくな
るからです。常に、人間関係でも仕事でも緊張関係をもった
状態が、私にとってはベストです。

長男は、昇格試験は積極的に受けているようで、常に全社で
一番の成績だそうです。
この影響でしょうか。
言うべきことは、しっかりと主張しているようです。
それでも管理職はやりたくないと言っていました。
給与はいただきたいが、管理的な責任は御免だ、というとこ
ろでしょう。
これからどのように管理職への登用から逃れるか見ものです。
現在のように技術的な専門職で残っていたいというのが本音
でしょう。
次男は、昇格試験を受けません。
いわゆる残業代を稼いで自分の趣味に没頭しています。
仕事や家庭生活、あるいは趣味をバランス(調子)よくやっ
ていくタイプです。
そんな次男でも管理職の姿には幻滅していました。

私は、仕事そのものには没頭できますが、いわゆる管理的な
仕事には興味がありません。
株式公開を目指す場合の管理職は単なる方便です。
私が受け持つ分野(総務や人事)において責任をもって株式
公開の仕事をやり抜く、というものでしかありません。
当然ですが、株式公開を目指す場合、管理的な仕事と同時に
現場仕事もこなしていきます。
そうでなければ、部下に仕事を教えていくことができません
し、すべての責任は自分がもつという入社即管理職という立
ち位置です。
こんな上司は、部下からみれば不安だらけでしょう。

部下だけではありません。
経営者も不安だらけだったでしょう。
私は、経営者に対しても物を言うことになります。
自ら預かる部門の専門性に関して仕事を通して、経営者に理
解してもらわなければ株式公開は進みません。
経営者とも緊張関係がある立ち位置です。
だからこそ、おもしろいのです。

他方、大手企業のように成長性よりも現状維持的な対応ばか
りでは、管理職がやっている仕事がばかばかしくみてくるも
のです。
私が新入社員で入社した企業がそうのようでした。
この企業、1970年代に成長余力を失っていました。
こうなると企業内は閉塞感ばかりが目立ち、社内では、なに
かに挑戦していこうという姿がありませんでした。

企業というところは、そもそも成長がなければ存続できない
ものです。成長がむずかしくなり、なかには不正に手を染め
てまで利益に執着するような経営をおこなえば、若い人たち
は敏感に嗅ぎ取ります。
企業内でなにをしているか、管理職の言動ですぐにわかって
しまうものです。
若い人たちの目の前には、昇進することで負の遺産をしょい
こむ上司たち管理職がいるのです。
そこに希望がみえてくるわけがありません。

若い人たちの言葉に一喜一憂するのではなく、経営者が企業
を成長させるために、どれほど本気になって挑戦しているか
という姿をみせなければ、今後も同様な状況は継続するでし
ょう。
また、中小企業の離職率が高い背景には、そもそも成長性が
低く、恒常的に昇進の課題(昇進できない、あるいは昇進し
ても結果がでなければすぐに首になるなど)や賃金の低さが
あるため、若い人たちからみれば魅力がない企業になってい
るからです。

私の経験でいえば、この人と長く仕事をしていたいと思えた
人は、これまでの人生でたった一人だけでした。
この問題は、将来に渡って経営者に課せらえた本質的な課題
なのかもわかりません。

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