経理 記帳代行ならエヌエスアカウトスタッフ

労務管理

休職者を復職させる場合には慎重な対応が求められます

従業員が病気や怪我で休職していた場合、病気のなどが治癒す
ることで復帰することになります。そのとき本来業務にしっか
りと復帰することができるかどうか、復帰にあたって配慮する
べき点がないかどうかを従業員の主治医に確認することが必要
となります。

会社がこのような対応を怠り、本人から復職の要望があったと
いうだけで復職を認めてしまえば、復職後、従来の病気などが
治癒しておらず、業務に復職したことで悪化をすれば会社は、
安全配慮義務違反になるケースがあります。

市川エフェム事件(東京高判平成28年4月27日)は、ラジオの
放送会社が、精神疾患で休職していた従業員(本人)の強い復
職の要望によって、会社が復帰を認めたところ、復帰後に本人
が自殺した事件です。

遺族は、会社が復職を容認した時点で安全配慮義務違反がある
として、会社に損害賠償を請求しました。
裁判所は、会社が従業員の主治医の意見を聴かずに職場復帰さ
せた点について「専門的な立場からの助言等を踏まえることな
く、漫然と職場復帰を決めたにすぎないのであるから、使用者
として、従業員の生命身体に対する安全を配慮すべき義務に欠
いたものと認められる」と判断しました。
そのうえで、会社に約3,000万円の損害賠償を命じています。

休職した社員の管理では、復職時に主治医の見解をもらうこと
は常識レベルの話であり、大手企業では普通におこなわれてい
ます。
さらに休職した従業員から途中経過について主治医の診断書を
もらい、本人の話をよく聞くなどして、より慎重な対応をおこ
なっている企業もありました。
復職後は、従来の業務ではありましたが、勤務時間や仕事内容
に無理がないように慎重な配慮をしていました。

休職者に関しては、復職ができないケースもあり、復職できた
場合でも従来の業務では復職できないなど、多くの課題がある
ことを理解しておくことが必要です。

大手企業ではきちんと対応できていますが、中小企業ほど、よ
く学んでおかなければならい大事な労務管理のひとつです。

news allread more

share this one