国土交通省は11日「JR貨物が貨車などの車輪交換作業でデ
ータ差し替えなどの不正行為をしていた問題で、鉄道事業法
に基づき同社の輪西(北海道室蘭市)、川崎(川崎市)、広
島(広島市)各車両所に立ち入り検査し、特別保安監査を始
めた。全車両の緊急点検を指示しており、監査結果も踏まえ
て、行政処分の可否を検討する。
同社の犬飼新社長は同日の定例記者会見で、不正があった
車両数が増える可能性があるとして、全列車の運行を一時的
に見合わせていると明らかにした。同社はその後、安全確認
が取れたとして、順次運行を再開した。
同社によると、車軸に車輪をはめ込む際、最大で1割程度上
限を超える圧力をかけていた。車軸の強度が弱まる可能性が
あるが、データを差し替えて、検査記録表を作成していたケ
ースもあった。同社保有の機関車と貨車計約8500両のうち、
564両で不正が確認され、運用停止を決めた」とメディアが
報じていた。
さらに東京メトロはきのう『161の車両で車輪の組み立て作
業のデータを改ざんしていたと発表しました。
東京メトロによりますと、グループ会社の「メトロ車両」は
車輪を組み立てる作業中に、基準を超える圧力をかけていた
にもかかわらず、基準値に収まるようデータを改ざんしてい
たということです。
不正は地下鉄日比谷線を除く161の車両で見つかり、最大で
およそ34%を超える圧力がかけられたものも確認されていま
す。東京メトロが車両を調べた結果、159の車両で安全確認
できましたが、有楽町線・副都心線を走る残る2つの車両に
ついては基準を大きく上回る圧力がかかっていたため、使用
を中止しているということです。
国土交通省はJR貨物のデータ改ざん問題を受け、全国の鉄道
事業者に緊急点検の指示を出していて、その中の点検で不正
が発覚したということです』とメディアが報じています。
今度は鉄道車両の検査不正だ。この国の事業者は、どうなっ
てしまったのだろうか。
これだけ同じような不正が続くには、事業者ごとに不正をお
こなう情報を共有していたのではないか、と私は考えていま
す。
一般的な不正では、検査部門が製造部門のなかにあり、その
責任者である部長などから圧力がかかることで、検査担当の
社員は製品が一定の基準に達していなくとも製品を合格させ
るようになっていきます。
製造部門にとって都合のよい体制であり、このような体制こ
そ検査不正が起きたときの典型的な体制だ、といわれていま
す。検査部において責任者(部長など)を配置しないという
点では、人件費のコストダウンも可能となります。
このような組織体制で検査不正が発覚すると、再発防止策と
して検査部門を製造と独立させる対応がおこなわれます。
独立といっても、その中身が重要です。事業部のなかに検査
部門があれば、事業部長が生産と利益を優先させて、問題は
引き続き残ります。本来の意味での独立ではないからです。
たまに「検査部門だって収益責任があるのだから、独立した
検査部門などあり得ない」という話を聞くことがありますが、
製造部門に検査部門がある体制をいっているにすぎません。
大事な点は、事業部と完全に独立した組織体制になっている
ことであり、その最高責任者に実力が伴う役員を就任させて
おくことができるかどうかです。
利益部門の責任者の顔色をうかがうことなく公正な検査がで
きる実効性が高い組織を確立させておくことが、代表執行役
に求められます。
このようなわかりきったことができていなことが、現在の日
本企業における深刻な問題です。この問題は、経済が成長し
ないわが国では引き続きどこかで発生しているとおもわれま
す。
私はあきらめに似た心境になっていますが、企業の内部留保
の一部が不正で積みあがっているとすれば、この国の大手企
業に未来はないでしょう。
ベンチャー経営や中小企業経営は、この点から脱却しておか
なければなりません。
経営の未来とは、不正なき事業運営から生まれてくるものだ
からです。