身元保証人という役割の意味を勘違いしている方も結構います。
身元保証とは、人物保証ではありません。
身元保証人を引き受けるというのは、人物の保証などではなく、
損害賠償などについてしっかりと保証をするということです。
労働者が、会社で勤務をして仕事をしていくなかでは、さまざ
まなことが発生します。会社で仕事をしていれば、大きな失敗
や事故などで、会社に損害を与え、会社に対して債務を負うと
いった事態もあり得えます。
身元保証とは、労働契約上の労働者が会社に対して負う各種の
債務を広く保証するというものです。
会社によっては、従業員に対する貸付金の返済まで身元保証人
に請求しているケースがあります。
現代では、日常的に従業員の不正を目にします。いわゆる会社
のお金の使い込みです。金額も億単位になるケースがあります。
しかも、そのような使い込み(横領)を多くみます。
本人は、横領したお金を既にすべて使い果たしていることがほ
とんどでしょう。会社としては、「何とかして回収をしたい」
ということになります。
このような場合、身元保証人にその額の回収が向くことになり
ます。しかし、会社とすれば身元保証さえ取っておけば大丈夫
か、という問題があります。
それは、身元保証契約が法律上どのような取り扱いになるか、
ということになります。
身元保証人の責任は、保証契約の期間中ずっと続きます。いわ
ゆる継続的保証です。しかも、普通は、保証額の上限がありま
せんから「いくらの範囲で保証します」とはなりません。
保証人には、過酷な契約なのです。
そのため、法律や解釈を通じて、その責任を限定する試みがな
されてきています。
そのひとつに「身元保証二関スル法律」という法律が作られて
います。身元保証契約の存続期間は 、定めがなされない場合は
3年間であり、当事者で定める場合は5年間を超えることはで
きないとされています。
確かな保証人を見つけたときには、しっかりと対応したいと考
えるでしょう。
雇う側は、長期の保証を望みますが、一方的に身元保証人に長
期の責任が義務付けられたりすることのないよう、法律で3年
ないし 5年という上限を区切っています。
もちろん、身元保証契約を更新することは可能ですが、更新時
より 5年を超えることはできません。自動更新条項については、
無効とした下級審判例があります。
このことから企業における内部管理体制を構築しておくことが
重要となるのです。
実際は、この点の管理がずさんな企業が多く、横領などがおこ
なわれるべくして(企業側の管理ができていない)おこなわれ
るケースが実に多いのです。
しかも、私が在籍していた中小企業では経営を揺るがすことに
なりました。