10月4日の投稿で、税務署の税務調査では粉飾決算は黙認す
るとされていますから、発表された決算書の誤りというのは過
少申告の分だけです。
決算書の誤りには「利益の過少計上」と「利益の過大計上」が
ありますが、税務署が調査するのは、あくまで「利益の過少計
上」です、とコメントしました。
粉飾決算は「利益の過大計上」が多くなるのですから、納税し
ている可能が高くなります。
本来、赤字であれば納税する必要がないのですが、銀行からの
融資を受けるために粉飾を簡単にやってしまいます。
このような経営者は、原理原則を理解していないのです。この
ような経営をおこなっている経営者は、今からでもよいですか
ら税理士や会計士に相談してすみやかに経理処理を見直してお
くべきです。
もっとも、見直すこともできない状態にあることも多いかもわ
かりませんがで、廃業などを含めて検討することが大切です。
経営とは、日々の結果の積み上げでしかありません。それを意
図的にゆがめていったところで、経営を立て直すことなどでき
ません。
粉飾するには、いろいろなやり方があるでしょう。しかし、そ
のようなことばかりに時間を使っていては、大事な目の前の取
引を失っていくだけです。
今の政治状況と同じで、政治資金を不正に使っていた政治家は
退場させられていくのです。
経営者も粉飾(そもそも違法)をすれば、結果責任を必ずとら
されます。
経営者は、下の記事をよく読んでおくべきです。
10月8日、東京商工リサーチの記事に粉飾決算の倒産
が急増している、と報じられていました。
内容は、次のとおりです。
『赤字決算を黒字に偽ったり、売上の過大な水増しや資金の不
正流出などを隠ぺいする「粉飾決算」の発覚による倒産が急増
している。特に、コロナ禍の業績悪化を隠ぺいして事業再生を
目指す企業で目立ち、2024年度上半期(4-9月)は11件(前年
同期比120.0%増)と、前年度同期の2.2倍に増えた。
コロナ禍の資金繰り支援で隠れていた粉飾決算が、事業継続
を求めて金融機関などに支援を要請する際に発覚したり、粉飾
決算を告白するケースが目立つ。
年度上半期の企業倒産は、負債1億円未満が7割(構成比75.1%)
を占めた。だが、「粉飾決算」倒産はすべて負債1億円以上で、
10億円以上が8割以上(同81.8%)に達するのが特徴だ。
粉飾決算は優良企業を装い、金融機関の貸出を増やしたい心理
につけ込む。金融機関は正常先として扱い貸出を増やすため、
借り手は多額の資金調達が可能で倒産時に負債が膨れあがる。
企業と金融機関の取引関係は、信用で成り立つ。ただ、粉飾決
算が発覚すると信頼関係は崩れ、経営再建に向けて金融機関の
支援を取り付けることは難しくなる。その結果、消滅型の「破
産」が8件(前年同期比300.0%増)と全体の7割(72.7%)に
達する。
金融機関の貸出は、事業性評価を判断する経験や「目利き力」
よりも、決算数値の定量分析に頼る部分が多い。粉飾決算は経
済犯罪という認識の定着と同時に、与信判断は定量分析と定性
分析、そして取引先とのコミュニケーションを図ることが重要
だ』と報じています。