現在、「国家はなぜ衰退するのか」という本がよく売れて
いるらしい。この本の著者で知られるダロン・アセモグル教授
は、ジェイムズ・A・ロビンソン、サイモン・ジョンソンとと
もに、2024年のノーベル経済学賞を受賞したからだろう。
その内容は「社会制度が国家の繁栄に与える影響の研究」に
対するものだった。
中小企業に在籍していると、経済における南北格差ではな
いが、大手企業とどこに違いがあるのかを知りたくなる。
私の本能のようなものだ。私自身の転職活動そのものが好奇心
からきていたことは間違いないだろう。
企業やそこで働く人をみることが、おもしくて楽しいからだ。
中小企業の創業経営者ともよく話したが、だいたいよく似た発
想をしているようだった。
とくに企業経営についてだが、創業経営者は、どこも同じ経営
をしていると考えていた。
企業の成長を支えるのは、自分(経営者自身)と製品やサービ
ス、あるいはそこで働く人だ、と思っていた。
この本のなかに書いてあるのだが、米国とその国境を接するメ
キシコの違いがどこにあったかを分析している。
簡単に言えば、国に民主的な制度があったどうかだ、といって
いる。
私は、企業でも同じことがいえると考えている。やはり同じ人
間が会社を統治するからだ。
自由に意見が言える会社と言えない会社では、どちがら成長し
ていくかは、あきらかだろう。
企業の経営者は、隣の企業と国境を接して活動しているような
ものだ。同じ経営をしていると考えてはならない。
大手企業と中小企業では、国と同じように制度に大きな相違が
ある。その本質を理解できていなければ、企業経営のかじ取り
はむずかしくなるだろう。