プロパー借換制度は、経営者保証に依存しない融資を促進
させるために2024年3月15日からスタートした制度です。
信用保証協会の保証が付保されていないプロパー融資では、経
営者保証の提供が一般的です。しかし、経営者保証は経営者に
とって大きな負担となることが問題点でした。
プロパー借換制度が誕生したことで、一定条件を満たしていれ
ば経営者保証を外した信用保証付融資に借り換えができます。
この制度は、民間金融機関よりプロパー融資(信用保証付き融
資ではなく、金融機関が独自に行う融資)を受けている中小企
業等を保証制度で「借換」することにより、経営者保証に依存
しない融資慣行の確立を加速させることを目的としたものです。
取り扱い期間は、2024年(令和6年)3月15日~2027年(令和9
年)3月31日(保証申込受付分)となっています。
小規模・中小企業も実績と信頼が高まると民間金融機関からプ
ロパー融資(信用保証なし)を受けることができるようになり
ますが、やはり多くの中小企業は経営者保証を提供しています。
今回創設されたプロパー借換保証制度を利用することで、金融
機関側からすると、プロパー融資を信用保証制度に借換できる
ので、貸し倒れリスクが軽減できます。企業側からすると、経
営者保証なしの信用保証制度に借換できるというメリットがあ
ります。
要件が合致すれば、すべての中小企業が利用できるわけではあ
りません。経営者保証なしの信用保証制度のため、以下のよう
な一定の財務の資格要件を満たす必要があります。
〈財務4基準〉
・資産超過である
・EBITDA有利子負債倍率が15倍以内
・法人・個人が分離されている
・返済緩和している借入金がない
「資産超過」とは債務超過でない状態のことです。貸借対照表
の純資産の部がプラスの状態であれば資産超過であることを示
し、マイナスの場合は債務超過となります。
「EBITDA有利子負債倍率」とは、「(借入金・社債-現預金)
÷(営業利益+減価償却費)」で算出される指標であり、返済能
力の指標の一つです。
「法人・個人が分離されている」というのは経営者保証のガイ
ドラインに即した基準であり、例えば「会社(事業者)から経
営者への事業上の必要が認められない資金の流れ(貸付金、未
収入金、仮払金など)がない」などを意味しています。
このような制度ができることは、経営者の経営能力が問われる
ことになり、経営能力のレベルアップにつながります。
顧問の税理士や会計士から会計についての学びを活かした経営
者ほど本当の意味で有利に事業を拡大していくチャンスがきた
ということではないでしょうか。