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経営能力

会計の知識は必要だが、決算書は細かくみるな

私は根っからの経理屋ではありませんから、決算書の勘定
科目をみることはありますが、そのなかでも「売上」「利益」
「現預金」くらいを注意してみているでしょうか。
経営全般をみていく場合、勘定科目の数年間の「流れ」でみて
いきます。数年間の決算書を比較してみます。
会計システム(ソフト)では、5期比較財務諸表がみれますか
ら、こちらをよく見ることになります。
1年分の決算書をいくら詳しくチェックしても、決算書
本質というのは見えてきません。反対に数年分の決算書を見比
べるだけで、決算書の本質がかなり見えてくるものです。

決算書に関する知識を書いている本などでは、1年分の決算書
を分析することばかり細かく記されています。粗利や流動比率
とはなにか、など難しそうな用語がたくさん出てきてきます。
1年分の決算書の数値を様々な方法で分析するわけですが、い
わば画像を拡大してみるだけで企業活動の本質はつかめません。

決算書を読み解くために一番重要なことは、「数年間の流れで
経営数字を見る」ということです。
分析も大事ですが、代表的な勘定科目を各年で比較したほうが、
その企業の経営実態が見えてくるのです。極論ですが、「売上」
と「利益」を数年分比較してみるだけで、その企業の経営状態
が把握できます。

利益率などの各種分析をする場合も、単年度だけではあまり意
味がありません。それぞれの企業にはそれぞれの事情があり、
標準的な数字がないからです。その年度の利益率が正常かどう
か、あるいは間違っているのか、 1年分の決算書を見ただけで
はわかりません。

企業は何か大きな投資をおこなう場合、多額の借金をするもの
です。また事業を開始したばかりのときにも、借金が多いもの
です。さらに借金をしているということは、その企業に金を貸
してくれる人(金融機関、企業など )の存在あり、その事業の
将来性が見込まれているということです。
金融機関から評価されていなければ企業は借金をすることがで
きません。だからこそ、単純に負債が大きい企業 が危ない企業
という見方はできません。負債の確認は、負債の大きさそのも
のよりも、負債が増えているか減っているかです。

負債の大きさ自体はそれほど大きくなくても、負債がなかなか
減らない企業や負債がどんどん増え続けている企業というのは、
やはり危険な要素が見え隠れしているものです。
そのような企業が、なぜ負債が減らないのか、また、増え続け
ているのかを検討していくことで、その企業の経営状態の本質
に迫ることができるようになります。

経営者の視点と経理屋の視点はかなり違います。会計の基本を
学ぶことは重要ですが、そこからどのような視点をもつかは、
経営者ごとに違います。
いわゆる経営能力の違い(格差)となっていきます。

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