同業他社と比較しても、その企業の特色を知ることはできます
が、その企業がどのようにして儲かっているかを知ることはで
きません。同じ業種の同規模企業であっても、その経営形態に
は多くの違いがあるからです。
建設業などでは、自社の社員は少なくして、ほとんど下請けに
任せている企業もあれば、多くの社員を抱えて仕事の大半を自
社の社員で行う企業もあります。
前者では人件費の割合は大きくなりませんが、後者では人件費
の割合は大きくなります。、その代わり前者では外注費の割合が
非常に大きくなります。
両者は一般管理費の割合などがまったく違い、必然的に財務構
造も大きく異なります。利益率なども大きく違ってくることが
あります。建設業だけではありませんが、いろいろな業種で、
自社の社員を多く抱えて仕事をおこなう企業と外部に発注する
ことで売上を上げていく企業では、決算書の内容が異なってき
ます。
またメーカーなどでは、大量生産の薄利多売で販売をおこなう
企業と、付加価値が高い製品を製造販売しているところがあり
ます。両者間では、原価率などの数字がまったく違ってきます。
このように企業間というのは、同業種、同規模であっても、そ
れぞれ違った事情がありますから、利益率や原価率などの分析
比率を単純に比較することは難しいものです。
他方、 1社だけの決算書を数年間比較してみると、その会社の
状況は見事にあぶり出されてきます。