日本企業の実態をデータだけでみれば、当期純利益は増加して
いますが、付加価値は長期停滞が続いています。付加価値が増
えない理由は、営業利益の増加分が、コストカットや合理化な
どによる影響でしょう。
データでみる日本企業は、付加価値を稼げないけど、儲かるよ
うに変化しているようです。その大きな要因は労働者の賃金を
上げてこなかったことです。
このように現状に甘えて賃金の上昇を抑え、コストカット、あ
るいは下請けいじめをおこない自社の利益を確保してきた大手
企業の実態も垣間見えているのかもわかりません。
ところが、付加価値を生まない経営は、現在のように賃金が上
がる環境ではひとたまりもありません。
利益を確保するために必死になっているのでしょうが、付加価
値が低い経営は賃金上昇分の利益を確保することが、急速にむ
ずかしくなります。
日本企業は、国内における若年層の賃金上昇を吸収するために、
高年齢者で給与水準が高い社員の早期退職を進めているのでし
ょう。
付加価値がない経営とは、タコが自分の足を食べるようなもの
です。利益を確保するために、社員を食っていきます。
外部の人間からはよくみえるのですが、経営層の立場にある人
たちは、ただ目の前の利益を確保するためにあらゆる施策を打
ちます。
付加価値経営ができていない企業は、これまで30年間のツケ
を払うことになるのです。多くの人たちは、大手企業が倒産す
るとき、はじめてこのことに気づくでしょう。
5期比較財務諸表の意味がわかるのは、まさにこれからなので
す。