売上や利益には、目がいくことが多いのですが、経営者が見落
としているものに「現金・預金」があります。
現金・預金がどれほど大事なのかということは、理解されにく
いものです。とくに、現代では、別に現金や預金を持っていな
くてもいいのではないか、と思っている人も多いようですが、
私もそのひとりでしょう。
しかし、企業にとって「現金・預金」を一定程度確保できると
いうことは、非常に大事なことです。現金を確保する方法は、
別に「利益を上げる」ということだけではないからです 。銀行
からお金を借りるという方法もあります。利益を上げるにしろ、
銀行からお金を借りるにしろ、企業の経営状態が健全でなけれ
ば、一定程度のお金があるという事実は成立しえないものです。
銀行は、その企業の経営が危なかったり、何か不安な要素があ
ればお金を貸してくれません。だから自前で稼いだお金にしろ、
銀行から借りてきたお金にしろ、とにかく現金・預金を持ってい
るということは「力のある企業」の証です。
企業が本当に儲かっているかどうかを知る上で、「現金・預金」
の動きが大事です。その理由は「現金・預金」は、ウソをつき
にくいという実態があるからです。
「売上」「利益」は、企業側が案外ウソをつくことが簡単にで
きます。
「現金・預金」の場合、公認会計士などがその真偽を確かるた
めの手間はかかりません。現金を数える。預金は銀行の預金の
残高証明書を確認するだけです。
仮に、銀行の残高証明書などを企業(経営者)が偽造したりす
れば、私文書偽造などの犯罪行為になります。
まれに横領している社員が残高証明書を改ざんしたりすること
もありますが、普通はそこまでやる企業はほとんどありません。
企業としては誤魔化しが効かないものです。
「現金・預金」は、会社の経営状態を正直に表す勘定科目とも
言えます。この点で「現金・預金」の増減を追っていけば、企
業の経営状態を把握することができ、事前に経営状況を察知す
ることができます。
現金・預金は、企業の力を知る有力な情報です。