人件費も中小企業では、脱税に使われやすい勘定科目です。実
際に経験したことですが、架空の人物が勤務しているようにし
て、人件費を水増ししたり、実際よりも多く給料を払っている
ように偽装して脱税していました。中小企業の場合、業務全般
に言えることですが、全体像がなかなかみえません。
架空の人件費のようだが、経営者は悠然と対応していることも
あり、そのしっぽをつかむのがむずかしい。大手企業出身者は、
経営を性善説でみるように教育されているものです。もちろん、
その分チェックをおこなう仕組みができています。
中小企業の経営者の経営についてみえないことが多く。証拠が
なければ、話をすることさえできませんでした。
もっとも、給料受取り用の印鑑を会社に用意しておいて、適当
に受領書を作っているようなケースは明確にわかりますが、手
が込んだことをやる経営者もいました。
しばしば使われる人件費にアルバイト給料の水増しや架空のア
ルバイト代の計上などがあります。
税務調査では、人件費は、タイムカードや出勤簿、あるいは給
与台帳などの帳簿類、さらに業務日誌といった現場の記録との
照合でチェツクされます。また、タイムカードを見て、入社時
間、退社時間が毎日ほとんど同じだったりすれば、誰かが一度
にまとめてのタイムカードを打刻していると確認されたりしま
す。
また不審な人件費があれば、他の社員に聞き取りをすることが
ありましたし、帳簿上の社員の数と、実際の社員の数は合って
いるかどうか、あるいは帳簿上の給料支払いの金額と、実際の
支払い金額に開きがないかどうかなど確認されます。
私が経験したケースでも税務調査でバレてしまいました。私は
その時点で記帳代行の仕事契約を終了させてもらいました。
今、誰に頼んでいるのかもわかりません。このような危ない経
営をおこなう経営者は、またどこで不正をおこなうかわからな
いからです。