報道によれば、来年も約4000品目の値上げが予定されてい
るらしい。値上げは、毎年の恒例行事になってきた。さて、企
業の値上げは、どれくらい継続できているのだろうか。
地場スーパーの店頭をみる限り、値上げの浸透はなかなかむず
かしいものがある。とくに大手メーカーなどの値上げは強気だ
が、顧客から確実にリーピトがある商品をもっていれば別だが、
スーパーで売られている商品は、大手企業に限ればそれほど大
差ない。
どこか1社が抜け駆けすれば、その企業の商品が顧客から選択
されていく。ところが、大手企業ほど利益の確保は簡単ではな
い。やはり賃金の上昇や物流コスト、あるいは原材料費や電気
料などの影響をまともに受けるからだ。
これまでのこの国の特徴だが、小さな企業ほど賃金の上昇率は
低く、原材料などを安く仕入れているケースもある。大手企業
に対するボリュームディスカウントが効きにくい。
理由は、これまで原材料の安定供給が前提だったからだ。
その点、中小企業のメーカーのほうが、大手原材料メーカーが
販売数量を維持したいことや中小企業への納品量が少ないこと
から納品価格が低く、仕入価格が低くなる中小メーカーは、こ
のような背景からスーパーなどへの販売価格をディスカウント
しやすくなることもあるだろう。そのため地場スーパーなどで
は、中小企業の商品が増えてきているように思える。
地場スーパーだが、近頃あまりみたことがないメーカーの商品
がちょうどよい価格で販売されていた。大手企業が価格を上げ
ていくとき、中小企業は勝負をかけるときだ。
値ごろ感に反応して消費者が購入してくれるチャンスが生まれ
るからだ。実際、私はある商品を購入してみたが、悪くない。
なにも大手企業の商品でなければならない理由もない。
この地場スーパーは、これまで消費者に根付いている値ごろ感
に合う商品を探してきたようだ。このような努力ができる中小
企業は、値上げが続くなかで企業を成長させていくだろう。
野菜や果物などは、需要と供給できまる。高値が続いている。
わが家では、ずいぶん冷凍野菜に置き換わってきた。
これからの時代、販売側(スーパー)だけでなく、供給側も大
変だ。食生活の基本構造が変わるからだ。生野菜や果物は、だ
んだんと高級品になってきた。
魚は、わが家では、当の昔に高級品になった。
食べなくなったが、そんななかで特定の種類の魚が安い中規模
のスーパーを利用して購入している。身近な漁港と取引がある
のだろう。その日取れた生きのよい魚が安く販売されているこ
ともある。ありがたい。
肉は、地場の小さなスーパーの肉がおいしいので、ほとんどそ
のスーパーで購入する。肉は高いのか、安いのか、私によくわ
からないが、妻は理解できている。
地場の小さなスーパーは価格は高いようだが、妻は、そこの肉
がおいしいということで購入するらしい。生鮮三品は、スーパ
ーの売上の約40%を占める重要な商品だが、これだけ価格が
高騰してくると、価格とにらめっこしがら冷凍品が活用されて
いくだろう。
このような転換期における中小企業の対応は重要だ。
人口が減少する時代は、大手企業ほど値上げによる影響によっ
て経営状態は混沌としてくる。値上げの時期こそ、中小企業が
攻めるときだ。顧客の値ごろ感に反応しろ、だ。食べてもらえ
ることで継続的な販売が可能となる。
店頭をみているといろいろな動きがみえるから面白い。販売競
争は、全国を股にかけて動いているようだ。地方から攻めてい
る姿も垣間見える。
人口減少社会のなかで生き抜く企業の生きざまが、よくみえる。
カオスの時代は、誰人にもチャンスが生まれてくる。ショック
もあるだろうが、おもしろい時代でもある。