保守的な決算書は、経営の基本はなるべく利益を出そうとしま
すが、損失が出た場合、素早く計上して経営の不安を取り除く、
という決算書です。
上場会社では、このように保守的な会計処理をします。
企業というのは、本来、会計上のマイナス要素を可能な限りは
やく処理しますが、企業会計規則では、本質的にこのような会
計処理を目指しています。
保守的な決算書は、企業会計の本来の姿とも言われています。
しかし、企業のなかには、なかなかこの決算書を作ろうとしま
せん。理由は、株主や銀行などの手前、どうしても企業の業績
を良く見せたいという心理が働くからです。また、そうしない
と、株価に反映したり、資金繰りが苦しくなったりします。
結果として、このタイプの決算書が作れる企業というのは、資
金面で安定しているともいえるでしょう。
なかでもグローバル企業は、保守的な会計をおこなうことが多
いと思われます。
IFRSでは、資産の減損を早期に認識することが求められていま
す。また、減損損失の戻し入れもルール上認められており、将
来の状況の変化により固定資産の価値が回復すれば戻し入れが
可能です。
会計基準には、米国会計基準や日本基準もありますから、企業
がどの基準を採用するかによっても変わります。
また、上場企業でも安定株主に支えられている企業などでは、
保守的な決算書になることが多いと言われています。
中小企業では、ほとんどみられない決算書です。銀行借入をおこ
なっていれば、赤字の決算書はご法度ですから、なんとか黒字化
しようとします。
そこに多くの問題が発生しているのも事実です。