売上が急増しているのに、利益がほとんど増えていない会社が
あった場合、このような決算書は典型的な脱税決算書の様相を
呈しています。しかし、現在のように値上げが頻発している経
済状況では、消費者の可処分所得が多い時代ならいざ知らず、
現在では簡単に値上げが受け入れられる環境ではありません。
消費財メーカーなどは、販売計画に基づき、製品(商品)を作
っていきます。生産した商品が、当初計画通りすべて売れてく
れれば問題ありませんが、消費者の購買力が弱く、値上げ後の
売値では、今の所得水準では販売が順調にいくことはまれでし
ょう。
メーカー側に、販売計画との差で在庫が残ろうものなら、ある
時点で、メーカーは損切をして在庫を一掃してくるものです。
このような対応が多くなる企業の決算書は、売上は急激にあが
るが、利益が少なくなっていきます。
この場合は、脱税ではなく、計画以上に販売促進費用がかかっ
てしまい赤字決算になります。あるいは、値上げができず、在
庫を抱えている企業は、経常的に赤字を垂れ流しているもので
す。ユニチカは、繊維事業から撤退しますが、たとえ売上があ
ったとしても利益がでない決算書は、上場企業でも、今後、益
々多くなることが予想されます。
これからの時代の決算書は、この点を注意してみる必要がでて
きます。