外資系企業で働く人であればMBAは有効な自己投資なのだろう。
他方、日本企業の場合のMBAの有効性には、現在でもかなり疑
問が残る。現代の自己投資と言えば、すぐに社会人大学院のよ
うな教育機関を目指すことだと考えている人が多いようだが、
カリキュラムはだいたい知りうる知識やノウハウではないだろ
うか。
また、海外でMBAを取得した人ほど、国内企業では働きずらい
という話も聞く。学ぶことが無駄な時間になったり、MBAの
価値が定まらなような社会では別なアプローチがあるように思
っている。
この点から言えば、普通の人間は、先ず現場で仕事を知る、体
験する、チャンスがあれば自分の考え方に基づいて仕事を主体
的にやることが必要だろう、と私は考えてきた。
ただ、それだけでは仕事に必要な知識や客観的で専門的な原理
原則が身につかない。
だからこそ、仕事をしながら外部のセミナーなどで学ぶ必要が
あった。
しかし、大変だった。
勉強する時間をつくる。
学ぶための費用を工面する。
仕事とは、そもそも自己投資だ。
仕事における力がつくのは、企業のなかで自らが主体的に仕事
にかかわり、さらに自分で時間をみつけて外部で学ぶことで自
分のスキルに磨きがかかるからだ。
会社親方では仕方ない。
日本企業では、自分の会社でしか適用(通用しない)できない
会社親方の社員が多い。
他社で対応できるようになるためには、先ず極限まで働くこと
が必要だ。転職を考えれば、他社の仕事環境など簡単に把握で
きないからだ。とくに大手企業だが、大手企業というころは、
上にいくほどとにかく働く。
なんといっても体力がいる。
先ず肉体的に仕事に対応できるように自分を鍛えておくことが
ベースになる。
ソニー子会社時代のように徹底的に鍛えられると、他社の労働
環境は楽勝だった。みなソニー子会社以下の労働環境だったか
らだ。
中小企業は、ゆるい。
先日、テレビの対談でイチロー氏と松井氏がヤンキースのクラ
ブハウスの環境の話をしていたが、ヤンキースと比べると他の
球団がいかにゆるいかということを話していた。
自らが働く環境は、厳しいほどよい。
自分を鍛えられるからだ。
単純だ。
大手企業に比べれば、中小企業はゆるかった。
働くなら中小企業だろう、と思った。
もっとも、経営に関する不満は鬱積する。
私にはこちらのほうが問題だった。
仕事とは、極限への挑戦だが、死ぬまでやることではない。
人間には、それぞれ自分の能力がある、そのことを前提にどこま
で挑戦するかを決めておけばよい。
最終的に、くいっぱぐれなければよいのだ。
私の時代でも食べていくことだけはなんとかなった。
現代は人口減少社会だ。
働き口だけ確保できるようにしておくことだ。
そして自分なりに学び、挑戦していけば、個人事業主としてでも
生き残っていけるだろう。
実戦(仕事や現場)ファーストだ。
そして学ぶ。
自分にしかないスキルを身に着けていく。
内容は、人それぞれだ。
他人を気にすることはない。
あくまで自分だ。
中小企業の経営者とて同じだ。