創業経営者で成功を収めている人は(私が知る限り一人だけだ
が)は、自分の気分や都合しだいで職務を執行することはなか
った。社員は、そのような経営者を尊敬するし、そういう経営
者についていった。
物事において重要なことをするためには、二つのことがあるが、
計画と不十分な時間だ。経営者には時間はかぎられている。そ
のなかでうまく計画を立てる必要があり、優先順位を決めて、
重要ではないものを排除しながら、重要なことを仕上げていく
能力にたけていた。これこそが自己規律の真髄だっただろう。
私にはそう映った。
自己規律をどのように生活習慣にしていたのか、私にはわから
なかった。だが、みている限り相当なレベルだと思えた。企業
の長期的な成長と成功のために欠かせないことについていかに
学び、構想し、実行していくかを知り、そして事業を成功させ
ていた。
長い時間で経営をみることができ、それに対応させるべく、自
己規律を構築しているようだった。人がみていないところで鍛
錬していたと思う。
規律ある自己鍛錬の賜物か、言い訳をすることがなかった。す
べてにおいて自己責任だった。自己規律に徹することができな
い理由などなく、経営者として、あるいは人間としてレベルア
ップするために言い訳など不要なのだという強い決意がみなぎ
っていた。
こんな経営者がいた。当然、企業は私の想像を吹き飛ばすほど
成長している。