妹の配偶者は米国人ですが、私と違い中小企業の雇われ経営者
として長く勤めていました。
転職は一度だけだったと、話していたように記憶しています。
米国人といえば、誰もが転職しているように思われているよう
ですが、それは大企業の経営職や技術職を渡り歩く人たちが中
心のようです。
妹の配偶者は、ロサンゼルスにある中小企業の社長(雇われで
すが)をしていました。社長ですから、さぞ働くのだろうと思
っていましたが、仕事中毒などなかったようです。
むしろ、会社から早く帰宅して海へいったり、子供たちの野球
をみていたりと、ハードワークとは無縁でした。
私が30代後半で配偶者が40代前半のとき、日本の私の実家
で話をしたことがありました。
配偶者は、そのときから明確なライフプランをもっていました。
リタイヤ後は、フロリダで暮らすと話していました。
その言葉が強く私の頭に残っていました。
そして4年前、会社生活からリタイヤしてフロリダのオーラン
ド近郊へ引っ越しました。
まさに、有言実行でした。
私はライフプランなどもなく、ただ転職を繰り返してきただけ
ですが、妹の配偶者は、このようなライフプランをもっている
からこそ、会社経営も順調だったことがよくわかりました。
米国人が働く意味も、今になって気づくことになりました。
人生とは残酷なものです。
私と妹の配偶者のお互いの生活には、天と地の差があるでしょ
う。しかも転職社会でありながら、結果としての長期雇用を手
に入れて、自分のライフプランまでも成功に導いていました。
もっとも、長期雇用といっても日本のような終身雇用ではあり
ませんから、あくまで経営者として実績を出した結果としての
長期雇用です。
本当に見事でした。
本来、日本でも雇われ社長が必要なのですが、所有と経営の分
離がうまくできないのも日本人の創業経営者の特徴です。
現在、事業承継で多くの問題が発生しています。
人生の晩年になって承継などといったところで、事業を受け継
いでもらえるほど事業内容がよい会社ばかりではありません。
やはり経営とは、若い時代に承継する勇気をもつことが求めら
れます。そして若い有能な人間を中小企業経営にあたらせるこ
とが必要です。
妹の配偶者も所有者の息子と軋轢があったときもあるようでし
たが、経営能力で自分のポジションを維持してきました。
まさに自分の能力と実績という実力を発揮して獲得したもので
した。
企業の所有者にとって好業績を出す人間(妹の配偶者)を退任
させる理由がありません。むしろ所有者の息子は、ある時期か
ら経営から離れていったと話してました。
日本でも企業の所有と経営の分離に関しては、中小企業ほど重
要になるのではないでしょうか。
私のような転職不良者ではどうしようもありませんが、日本に
は若い有能な人間がいます。
中小企業のオーナー経営者こそ、はやい段階から事業承継を検
討しておくべきです。
もちろん、経営者の立場で採用するわけですから実績が出せる
ことが前提となり、業績という結果が出せなければ、企業の所
有者(株主)から解任され、そこで経営者を引くことになりま
す。たとえ結果が出せなくとも、若い人たちであれば、多くの
学びがあるでしょう。
企業の所有者が経営者にふさわしい人物をみるには、その人間
が、どのようなライフプランをしっかりと持っているかが大事
です。
理由は、経営能力とは、自分の人生をどのようにしていくかと
いうことと同じだからです。
私は、今頃、妹の配偶者に学ばせてもらったライフプランなき
人間でしたが、それでもこの事実を学ばせてもらっただけ幸運
でした。中小企業のアドバイスに活かしていくことができるか
らです。
私は現在でも、何事もどん欲に学び、どのようなことでも自分
の仕事に活かしていきますが、それだけが私の取柄だからです。