私の頭では粉飾決算をすることなどできないが、世の中に存在
する経営者のなかには、粉飾決算が得意技のようタイプの経営
もいるようだ。
金融機関、税務署、取引先と 3つの決算書を作っていた企業も
あるという。その手間だけでも、私のような横着者にはできな
い。どれも相手に合わせて決算書を作るようだから、かなり知
的レベルが高いと思う。
ある企業のあるときの損益計算書を見ると、売上高は、銀行用
が約 200億円、税務署用は実態に近い約 170億円だった。
資金調達したい企業は、銀行に業績を過大に見せる必要がある。
営業利益は、銀行用が約 2億 5000万円、税務署用が約 8
億 円を計上していた。だが、実態は 20億円以上の損失があり、
赤字決算が5期以上も続いていた。赤字の原因は、原材料価格
の高騰や円安が進んだことで輸入コストが上がり、さらに人件
費や物流費の価格転嫁ができなかったというよくあるシンプル
なものだ。
とくに銀行で財務分析される項目だけよくみせる決算書を作成
している。これだけでも、めんどうなことが嫌いな私はできな
いだろう。また、そのような知恵もでない。
AIにでもやらせれば、粉飾は簡単にできるのかもわからない。
取引銀行の審査担当者がみれば、数字だけは優良企業であり、
決算書だけからは、優良取引先、正常融資先だった。
他方、税務署用では製品在庫を約100億円ほど計上している。
在庫を過大に計上することで売上原価を低減させ、利益を上げ
ているように見せて粉飾していた。税務署は、このような粉飾
をおこなっていると思われる企業には税務調査に入らない。
企業が税金を納付してくれればよいだけだからだ。。
税務署用は、税金の支払いのための利益を出すことが目的だ。
私には想像できないが、決算は架空の数字で埋められた芸術作
品のようなものだろう。実態は優良企業とは程遠い、数十億円
の債務超過でどうにもならなかった。
粉飾する能力があるのなら、またやり直す機会もあるだろう。
虚業を続けていても、いずれ破綻するときがくる。
経営者は、起業したときから大変だが、正々堂々と事業をおこ
なっておかなければならない。
ビジネスは失敗するときがある。
失敗したときは、潔く頭を下げて、事業を終えるしかない。
また、起業したときから会社の清算価値を知ることが重要だ。
厳しいビジネス環境のなか、資産があるうちに清算することを
考えておくのも経営者の基本的な仕事だ。