企業には、経営者や従業員の他に、株主などの投資家、あるい
は銀行などの債権者、取引先、税務当局などの利害関係者が存
在しています。このため経営状況を適切に開示することで、各
利害関係者の判断資料として経理情報を提供しています。この
ように的確な情報開示を行うことが「情報開示機能(ディスク
ロージャー)」です。
ディスクロージャーは、金融商品取引法に基づき投資家へ企業
の経営内容の開示に限定するケースもありますが、より広く積
極的に利害関係者に対する会社情報の開示だと考えることが、
より経営情報の開示の実態に近いでしょう。
むかしは、経営者が自社の経営情報を開示することに関して、
かなり消極的でした。今日では、経済のグローバル化や経営環
境の変化、あるいは利害関係者の拡大に伴い、より積極的に経
営情報を開示し、経営の透明性を高めることが経営の基本原則
となっています。
このような観点から経理部は、適正な経理情報を作成し、経営
情報を開示する機能を担うことになっています。開示情報には、
過去の経理情報だけでなく、企業戦略など非経理情報や未来に
対する経営情報を含めた情報開示をすることによって、それぞ
れ企業価値を高めることを目的としたInvestor Relations (投資
家向け広報)などがとくに重要になってきています。
さらに、金融商品取引法による開示内容では、時価総額に関する
情報、あるいは売上や利益等の事業別セグメント情報など、より
広範囲の情報が求められています。
また、経理部は資金業務や財務会計を担当するため、日常的に金
融機関や取引先、あるいは諸官庁や監査法人などの窓口担当とし
て種々の経理情報を作成し開示することで、開示情報に対する問
い合わせの対応や折衝担当としての役目を担っており、その責任
を果たしていことも重要な業務になっています。